2018年11月17日(土)

米、外資制限を厳格化へ 中国念頭も狙い撃ちは回避
議会、CFIUS機能強化審議

2018/6/28 17:21 (2018/6/28 20:25更新)
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【ワシントン=河浪武史】トランプ米大統領は中国企業の対米投資制限を巡り、既存の対米外国投資委員会(CFIUS)による審査厳格化で対応すると27日に正式表明した。中国を狙い撃つ真正面からの激突を避けたのは、米企業が中国で締め出される報復を懸念したからだ。ただ、米議会が審議するCFIUSの改革法案は強力で、中国勢の対米投資縮小は避けられない。

トランプ氏は中国の知的財産権の侵害を制裁するため、500億ドル(約5兆5千億円)分の中国製品に追加関税を課すとしており、7月6日に第1弾を発動する。米財務省には6月末までに中国企業の対米投資の制限案を検討するよう指示していたが、27日にトランプ氏は既存組織であるCFIUSを投資制限に活用すると表明した。

CFIUSは外資全般を対象とする。トランプ政権内には大統領権限で中国企業の投資を抜本的に差し止める強硬案もあった。具体的にはイランへの金融制裁などに用いてきた「国際緊急経済権限法」を発動して中国にも適用し、モノやマネーの流れを根本から止める仕組みだ。ナバロ大統領補佐官ら強硬派は、ホワイトハウスの裁量が大きい同法の発動を主張してきた。

ただ、ムニューシン財務長官ら穏健派は投資分野での中国の報復措置を強く警戒した。米中関係をモノの貿易でみれば中国の対米輸出が圧倒的に多いが、直接投資は米国の対中投資額(ストック)が925億ドルと、中国の対米投資より3倍以上も大きい。成長市場の中国には金融や自動車、ハイテクなどあらゆる米企業が進出し、中国が米企業の投資を締め上げれば打撃が大きい。

さらに、米企業が仕掛ける世界規模の大型M&A(合併・買収)は「巨大市場を持つ中国の競争当局の承認が今では欠かせない」(米中通商筋)。実際、半導体大手のクアルコムは中国当局の承認が得られず、車載半導体のNXPセミコンダクターズ(本社オランダ)を巨額で買収する構想が滞っている。

もっとも、トランプ氏が追加制裁を見送っても、中国企業の対米投資が制限される流れが変わるわけではない。CFIUSは財務省や国防総省などが管轄する独立組織で、軍事転用が可能な技術が流出するなどして安全保障上で問題だと判断すれば、大統領に投資中止を勧告する。米議会は中国企業を念頭に、審査対象をさらに広げる法案を検討中だ。

例えばCFIUSのこれまでの主な審査条件は「米企業の支配を目的とする海外企業による買収・合併」だったが、新法案では少額出資や合弁企業の設立も対象に加える。中国などを「特に懸念される国」と指定して審査をさらに厳格化する条項もある。新法案では国家安全保障というCFIUSの目的が拡大解釈され、人工知能(AI)など先端技術を持つ米企業への出資を幅広く制限することになる。

米議会は中国製品の追加関税に異論を唱えてきたが、CFIUSの権限強化には与野党がそろって賛成する。下院は26日、CFIUS改革法案を400対2という圧倒的多数で可決した。中国の知財侵害や技術移転の強要、サイバー攻撃といった手法には、米議会のアレルギーが極めて強い。上院での審議を急ぎ、米議会は早期の法案成立を目指す。

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