2018年9月21日(金)

富士フイルム総会、沈黙貫いた古森氏

株主総会
エレクトロニクス
2018/6/28 15:11
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 富士フイルムホールディングスは28日、東京・六本木の東京ミッドタウンで株主総会を開いた。米事務機器大手ゼロックス買収について株主から質問が相次いだが、古森重隆会長兼最高経営責任者(CEO)は終始表情を変えずに沈黙を貫いた。ゼロックス側とは足元でも応酬が続く。対立が過熱し提携関係そのものが揺らげば、両社双方にとって打撃になりかねない。

富士フイルムホールディングスの株主総会に向かう株主ら(28日午前、東京都港区)

 「どうして統合がベストなのか」「今後のシナリオを教えてください」。総会ではゼロックス買収の行方を不安視する株主が説明を求めた。助野健児社長兼最高執行責任者(COO)は「将来のコア事業を作るためにはゼロックスに大きなキャッシュを投入できない。今回の買収案がベストだ」とあくまで統合をめざす意思を改めて示した。

 ただ、古森氏が口を開くことはなかった。「古森さんの考えを聞きに来た」(65歳男性)という株主も多く、総会の終盤では「古森CEOからの説明はないのか」との声もあがったが、議案可決の拍手でかき消された。都内に住む50代男性は「思ったより盛り上がらなかった。古森さんの発言がなくて残念」と会場を後にした。

 ゼロックス買収の先行きは不透明感が高まっている。株主総会の前日、古森会長はゼロックス最高経営責任者(CEO)のジョン・ビセンティン氏が出した書簡に返答した。富士ゼロックスとの契約を解消して単独でアジアに進出するビセンティン氏の意向に対し「同地域で対抗すると同時に、欧米に進出する」と反発した。

 ゼロックスは富士ゼロックスと調達や営業地域に関する技術契約を結んでいる。ビセンティン氏は書簡で、期限が切れる2021年以降は契約を更新しない可能性に言及した。実行すれば富士ゼロックスがアジア太平洋地域、ゼロックスが欧米で販売を担う提携関係は根本から崩れる。

 富士フイルムは契約解消が「現実性に欠ける」と主張する。「アジアで一から営業チャネルを構築するのは非常に難しい」(同社)ためだ。商品の確保も課題になる。ゼロックスは現在、3分の2以上を富士ゼロックスから調達している。代替品を供給できる高性能の事務機メーカーは日本勢に限られ、アジアには展開済みのため、ライバルのゼロックスが供給を受けるのは簡単でない。

 富士フイルム側の幹部は書簡について「(譲歩を引き出すための)脅しだろう」と話す。とはいえ、富士フイルムがアイカーン氏の戦略を読み切れているとも言いがたい。契約解消の通告が「交渉戦術」でなければ、富士フイルムはゼロックス買収を実現できないどころか、既存体制の変更を迫られる。

 事務機器は今後、市場拡大が見込めない。米IDCの調査によると、2017年のプリンター・複合機の世界出荷台数は0.9%増の約1億台だった。総会に参加した株主は「これだけの労力を縮小するドキュメント事業に費やす価値があるのか。経営資源をもっと医療分野に投じるべきだ」と話す。

 富士フイルム経営陣は株主総会で事態の打開策を示さなかった。助野社長は「統合できなくてダメージを受けるのはゼロックスだ」と主張したが、白紙になれば長期的な戦略の見直しは必至だ。業界再編の機運が高まりつつある中、成熟市場で競争が激化する流れは止まらない。ゼロックスは本来、富士フイルムにとって対立すべき相手ではないはずだ。(清水孝輔、下村凜太郎)

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