2019年7月22日(月)

一枚上手の相撲論(浅香山博之)

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白鵬の張り手やかち上げは禁じ手か

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2018/7/6 10:46
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大相撲名古屋場所は8日、ドルフィンズアリーナで初日を迎える。最近、やり玉に挙げられているのが横綱白鵬の張り手やかち上げ。反則技でもない取り口は、それほど批判されることなのだろうか。

白鵬は5月の夏場所も、張り手を何度か見せて物議を醸した。昨年末には横綱審議委員会からも苦言を呈されている。過去には白鵬のかち上げで相手力士が脳振盪(しんとう)を起こしてひっくり返ったこともあるし、白鵬の張り手やかち上げを汚いとか醜いと感じる人もいるかもしれない。やる回数が多いことに不満を持つ人もいるだろう。見方は人それぞれ。しかし、長年相撲を取ってきた者からすれば、ひどい取り口とも思えないし、封印を余儀なくされるのはどうかと思う。

立ち合いで勢(右)に張り手をする白鵬(2016年夏場所)

立ち合いで勢(右)に張り手をする白鵬(2016年夏場所)

相手をわざと痛めつけているのであれば問題だ。ただ勝負は甘い世界ではないし、相撲のルール上やってはいけないものでもない。自分の現役時代を振り返っても、貴闘力関はバンバン張っていたし、昔の人は立ち合いから相手を思い切り張り倒すつもりで、張ることだけしかやっていない力士だっていた。普段から頭と頭がぶち当たるような稽古をしていれば、そんな張り手くらいで倒れることもないだろう。やられたら逆にやり返すくらいの気持ちで白鵬に立ち向かっていけばいい。

若手に感じられぬ闘志や気概

かち上げや張り差しをする方からすれば、失敗したら逆に相手に踏み込まれて一気に押し出されてしまうリスクがある。張っていけば当然脇があくし、かち上げるときに背中が伸びてしまうことだってある。その隙を突いて、立ち合いから恐れることなく白鵬に強く当たっていけばいいし、立ち合いのタイミングをずらしたっていい。だが、今の若手は何の対策もなく、相撲にならないことが実に多い。

自分が現役のときは、武双山(藤島親方)や安芸乃島関(高田川親方)、琴錦関(朝日山親方)ら闘志をむき出しにする力士ばかりだった。だが、今の若手からは「何が何でも横綱に勝ってやる」という気概が感じられない。土俵に上がった時点で負けているというか、怖々と相撲を取って、おとなしく横綱の攻撃を受けてしまっている。白鵬相手に張り返したら巡業の稽古でかわいがられるのを恐れているのだろう。かわいがりを受ければ多少きつい稽古になるかもしれないが、昔ほどの厳しさはないし、本来は横綱と稽古できるのはありがたいこと。自分が強くなるために横綱に鍛えてもらえばいいのに、稽古が嫌だからみんな逃げている。だから、いつまでたっても勝てないのではないか。

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