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東芝総会で見えたズレ 株主はグローバル、事業は国内回帰

2018/6/27 12:01 (2018/6/27 12:18更新)
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経営再建中の東芝は27日、千葉市の幕張メッセで株主総会を開いた。昨年12月の増資により株主の7割が海外投資家となり、株主重視の「グローバル経営」を求める重圧が強まる。一方でメモリー事業売却により事業の「国内回帰」が進み成長シナリオが描きにくい。総会で選任された車谷暢昭会長兼最高経営責任者(CEO)ら新経営陣はこのズレを埋められるか。

東芝の株主総会に向かう株主ら(27日午前、千葉市美浜区)

「債務超過は解消しましたが、配当の分配可能額はいまだマイナスで期末配当はゼロ。皆さまには改めて深くおわび申し上げます」

総会は議長を務めた綱川智社長による陳謝で始まった。東芝は上場廃止を回避するために昨年末に6千億円の大型増資を実施。海外投資家比率が4割弱(16年度末)から7割に急上昇した。半導体メモリー子会社の約2兆円での売却で経営危機は脱したものの、新生東芝がどう生き残っていくかに株主の関心が集中した。

総会ではファンドなど海外投資家とみられる株主からの質問は目立たなかったが、水面下ではファンドからのプレッシャーは徐々に増している。6月上旬までに東芝株を2%保有する米ファラロン・キャピタル・マネジメント、5%超持つ米キング・ストリート・キャピタル・マネージメントが、東芝株の保有目的を「純投資」から「純投資及び状況に応じて重要提案行為などを行う」に変更した。

■海外比率「西田体制」前に

東芝は6月中旬に株主の意向にも配慮して7000億円の自社株買いを実施する方針を総会直前に発表。株主の視線ははやくも株主還元から次の成長戦略に移る。「自社株買いの方針は評価するが、企業価値をさらにどう高めるのかお手並み拝見」。東芝に投資するあるアジア系ファンドの幹部は話す。

しかし、東芝が成長戦略を描くのは簡単ではない。15年に発覚した不正会計により優良事業だった東芝メディカルを売却。16年末に米原発事業の巨額損失問題が表面化すると、海外の原発建設からは撤退し、稼ぎ頭のメモリー事業の売却の方針も決めた。

これらの事業撤退で、17年度には国内と海外の売上高比率は逆転した。ピークの14年度には6割弱に達した海外売上高比率は足元で4割強に下がった。グローバル化を推し進めた西田厚聡社長が就任する直前の04年度に逆戻りした格好だ。

今後の中核にすえる社会インフラ事業は自治体向けなどの国内が主体で、海外売上高比率は3割弱。水システムや高速道路管制、放送システムインフラなどは「安定収益事業」ではあるものの、内需中心で海外展開なくして中長期的な成長は見込めない。

打開策となる海外M&A(合併・買収)についてもこれまで失敗続きだったため、社内に加え、投資家筋からも厳しい視線が注がれている。総会で車谷会長は「M&Aに対して特に慎重に検討する」との考えを改めて示した。

再建のモデルとなりうるのが東芝のライバルたちだ。09年度に巨額赤字に転落した日立製作所はコスト削減と事業の選択と集中により18年3月期に過去最高益を計上した。独シーメンスも半導体子会社など非中核事業の売却を繰り返して高収益体質を確立した。米ゼネラル・エレクトリック(GE)も主力のヘルスケア事業を分離するなど、財務立て直しに向けなりふり構わないリストラを進める。

■日立などへ人材流出も

こうした事業再編には中核に世界で戦える事業を据え、経営資源を集中させる必要がある。ただメモリーなどを手放した東芝にそうした事業はほとんどない。加えて成長には欠かせない人材の流出という問題も持ち上がっている。

エンジニアの転職を支援する会社のコンサルタントによると、新規登録をする東芝社員が後を絶たないという。年代は20代~50代と幅広く、日立などの同業他社へ転職するケースが多い。転職した東芝の元社員は「どうせ働くなら夢のある方で」と話したという。

今回の株主総会で承認された取締役12人は新任3人を含め、全員が日本人だ。取締役12人中4人を外国人にしている日立に比べて、経営のドメスティックぶりも目立つ。グローバルな株主に対応するには、事業戦略に加え、経営を含めた社内体制のグローバル化も問われそうだ。

(安原和枝、浜岳彦)

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