2018年9月25日(火)

メキシコ、大衆迎合のリスク

The Economist
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2018/6/27 2:00
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The Economist

 メキシコ国民は今、2つの点で意見が一致している。まず、メキシコのサッカー代表チームが6月17日の対ドイツ戦で勝利したのは見事だったということ。そして7月1日の大統領・連邦議会選挙は、ここ数十年で最も重要なものになるという点だ。大統領の最有力候補であるアンドレス・マヌエル・ロペスオブラドール氏は、「共に歴史を作ろう」という政党連合を率いている。対立候補らは、悪い意味で本当に歴史が作られてしまうことを恐れている。

7月1日の大統領選で勝利するとみられる新興左派のポピュリスト、ロペスオブラドール候補=AP

7月1日の大統領選で勝利するとみられる新興左派のポピュリスト、ロペスオブラドール候補=AP

 これまで大統領選に2度出馬したロペスオブラドール氏は、庶民的かつ清廉潔白なイメージで多くのメキシコ人を魅了している。同氏が約束するのは「急進的な革命」だ。それを脅威と受け取る人もいる。ロペスオブラドール氏は、過去の政府が経済を近代化するために採った政策に反対したことが何度かある。彼に批判的な人は、「ボリバル革命」によってベネズエラに破滅をもたらしたウゴ・チャベス氏になぞらえる。ロペスオブラドール氏が提唱する国家主義的なポピュリズム(大衆迎合主義)は、メキシコでは1980年代初め以降、全く見られなかったたぐいのものだ。そして、世論調査が正しければ、彼は勝利する。

■自動車輸出台数で世界4位にまでなったが

 そうなれば、経済規模で中南米2位のメキシコは、既存の秩序に有権者が盾突いた民主主義国の仲間入りをすることになる。メキシコで起きつつあることは、米大統領選でのトランプ氏の当選、欧州連合(EU)からの離脱を決めた英国の国民投票、そしてイタリアでのポピュリズム政権誕生と通じるものがある。ブラジルでも10月の大統領選挙で同じことが起きる可能性がある。最有力とされるジャイール・ボウソナロ候補は、同性愛者への悪意をむき出しにしつつ、軍事政権を支持する発言をしているからだ。

 大衆が抱く怒りには、様々な原因がある。中南米の有権者は、他の地域と同様、エリート層が腐敗していて役に立たず、人を見下していると感じて憤っている。米国のポピュリストがワシントンを「腐敗しきった沼」と非難し、ブラジル国民が政界の堕落にがくぜんとしているのと同じように、ロペスオブラドール氏は、メキシコを牛耳っていると彼が考える「権力のマフィア」を痛烈に批判している。

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