2019年5月20日(月)

日医会長に横倉氏が4選 副会長選では波乱も

2018/6/26 18:00
保存
共有
印刷
その他

日経メディカルオンライン

2年に1度の日本医師会の役員選挙が2018年6月23日、日本医師会館で開かれ、現職会長の横倉義武氏が4選を果たした。任期を務めきれば、戦後の日医会長としては、25年間にわたって会長を務めて一時代を築いた武見太郎氏は別格として、羽田春兔氏と坪井栄孝氏の4期8年に並ぶことになる。

副会長および常任理事選挙では、横倉氏の推す候補者リスト(キャビネット)から除外された松原謙二氏(大阪府)が3期目(1期目は補選)の副会長として当選する波乱はあったものの、その他はキャビネット候補が順当に当選。5人の新顔が常任理事となるフレッシュな布陣となった。

この日の役員選挙で横倉氏は、会長候補として出馬した塩見俊次氏(奈良県)を328票対19票(白票・無効20票)で圧倒して信任を得た。6年前に民主党とのパイプを持つ原中勝征氏を破って当選して以来、自民党の安倍晋三政権とのパイプを生かして、社会保障費の削減が叫ばれる中、診療報酬の改定でも本体部分ではかろうじてプラス改定を勝ち取るなどの手腕が評価されたとみられる。

当選後の記者会見で3期の実績を問われた横倉氏は、かかりつけ医の機能を明らかにした上で研修プログラムを作成し、毎年1万人近い開業医に受講してもらっていること、地域包括ケアにおける医療と介護と垣根を低くしたことを挙げた上で、「国民の生活を守っていくことに貢献したのではないか。4期目は、それを充実させていきたい」と抱負を述べた。

■単独出馬の松原氏、副会長当選

副会長選は、立候補していた今村定臣氏(長崎県)が選挙前日に辞退して4人で3人の定数を争う形となった。その結果、キャビネット候補の今村聡氏(東京都)が270票、中川俊男氏(北海道)が261票を獲得して当選した。しかしキャビネット候補として現職の常任理事で副会長に鞍替えした松本純一氏(三重県)は174票と伸び悩み、代わりに単独で出馬した松原氏が214票で当選した。なお白票が176票あった。

松原氏が横倉氏のキャビネットから外されたのは、2月中旬に開かれた新専門医制度のシンポジウムで、不用意な発言をしたとして集中砲火を浴びたことが発端だと見られる。その他、松原氏の普段の言動などにも問題があるとして推薦を外され、自力で戦うことを余儀なくされた。それでも地元である大阪府医師会の強力な後押しを受けて、東京都医師会や愛知県医師会などの大票田の協力を得て当選にこぎつけた。

松原氏は、記者会見でキャビネットから除外された「しこり」について問われ、「ものの考え方が完全に違っていて外れたわけではないので、今後も横倉先生を支えていきたい」と否定した。同時に横倉氏も「(松原氏には)1点だけ課題があった。そのことでチームに入れなかったが、反省もしているし、しこりはない」と話した。

定数10人の常任理事選は、キャビネット通りに当選が決まった。票の多い順に、城守国斗氏(京都府)、松本吉郎氏(埼玉県)、羽鳥裕氏(神奈川県)、釜萢敏氏(群馬県)、道永麻里氏(東京都)、江澤和彦氏(岡山県)、小玉弘之氏(秋田県)、平川俊夫氏(福岡県)、長島公之氏(栃木県)、石川広己氏(千葉県)。現職ながら若返りを理由にキャビネット入りを果たせなかった温泉川梅代氏(広島県)が落選した。横倉氏が掲げたキャビネットでは、副会長候補の松本氏だけが落選の憂き目にあったが、その他は全員当選し盤石の体制を築いたともいえる。

24日に開かれた代議員会での所信表明で、横倉氏は(1)男女共同参画や人工知能(AI)などを通じて働き方改革を進めて医師としての責任を果たしていく、(2)平均寿命100歳時代に健康寿命を延伸させるための健康づくりに関わるべく、かかりつけ医の機能を拡充していく、(3)健康増進を目的とした政策の結果として医療費が削減される取り組みが必要で、経済、財政、社会保障を一体的に考えた持続可能な提案をしたい――などと話し、4期目に向けた方向性を示した。

(ジャーナリスト 辰濃哲郎)

[日経メディカルオンライン 2018年6月25日掲載]

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報