2018年11月19日(月)

住宅被害は「一部損壊」99%、復旧に悩み 大阪北部地震

2018/6/25 20:36
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大阪府北部で震度6弱を観測した地震は25日、被害調査が進み、被災した家屋の数は近畿4府県で8千棟超に拡大した。99%は倒壊を免れた一部損壊のケースだが、復旧工事の進め方や公的支援の内容に戸惑う被災者が多く、各自治体の窓口に相談が殺到。全壊や半壊に比べて一部損壊の公的支援は少なく、被災家屋の多い大阪府は無利子の融資制度を新設する準備に入った。

地震で損壊した住宅の屋根(25日、大阪府高槻市)

「修理にはどれくらい費用がかかるのか」「補助金は出ますか」。罹災(りさい)証明の申請を受け付ける大阪府茨木市の特設会場は25日午後、約100人の市民らでごった返した。窓口での質問は一部損壊した自宅の修繕方法に集中した。

持田隆史さん(55)の築約35年の自宅は屋根瓦がはがれ落ち、複数の壁に亀裂が生じた。「余震の恐れがあるので補修したいが、自分では難しい。公的な支援対象になるのか早く確認したい」

自宅の壁にひびが入ったという主婦の伊東喜子さん(79)は「地震保険にも加入しているが掛け金が少なく、保険金の支払額には期待ができそうにない。どう補修したらいいか」と気をもむ。

大阪府が25日に開設した住宅に関する電話相談窓口にも家屋の修繕についての相談が複数あった。地震発生から25日で1週間が経過。ライフラインが全面復旧するなか、暮らしの再建に向けて自宅の修繕に取りかかる被災者が多いとみられる。

住宅再建に向けた公的支援は複数ある。大規模半壊や半壊の場合、災害救助法に基づき1世帯あたり58万4千円を上限に公費で屋根や外壁の修理が可能だ。

被災者生活再建支援法で被災者に最高300万円が支給される仕組みもある。ただ全体の被害規模が条件とされており、今回の地震では適用されない可能性がある。

今回の地震で目立つ一部損壊は税が減免される場合があるが、公費による支援の対象外。大阪府の松井一郎知事は25日、「民間金融機関と協力して新しい融資制度をつくる」と述べ、一部損壊も対象とした無利子融資制度を新設する考えを示した。財源は国にも支援を求めているという。

一方復旧が進む被災地で懸念されているのが悪質な便乗商法だ。大阪府警によると18日、ガス復旧を依頼した大阪市内の60代男性が、業者から部品の交換費用として十数万円を請求されて支払った。部品交換の形跡はなく、府警は虚偽の説明だったとみて捜査を始めた。

国民生活センターによると、悪質商法は2016年の熊本地震でも多く、「工事・建築」に関連する相談は約1千件に上った。「工事の着手が半年遅れたうえ見積額が倍になった」「内装の修理工事を契約したが始まらない」との内容があったという。消費者庁は不審な訪問や電話を受けた場合は消費者ホットライン(188)や消費生活センターなどに相談するよう呼びかけている。

地震保険支払額、時価に対する損害額の割合で

日本損害保険協会などによると、地震保険に加入していれば、多くのケースで保険金が受け取れる。居住用の建物の場合は各保険会社の担当者が震災後に現地を調査し、損害額を算定。家屋や家財の時価に対する損害額の割合に応じ損害の程度が4つに区分され、支払われる保険金の額が決まる。損害額が家屋の時価額の50%以上ならば「全損」と判定され、保険金が満額支払われる。

ほかの区分は被害程度が大きい順に「大半損」、「小半損」と続き、「一部損」の場合に支払われる金額は保険金額の5%。一方、被害が軽微で、損害額が家屋の時価の3%未満と判定されると保険金が支払われない。自治体の被害認定で用いられる全壊や半壊といった区分は損害の面積などを基にしており、地震保険とは基準が異なる。

家庭向けの保険料は損害保険料率算出機構が算定し、各社で一律。地震保険の世帯加入率は上昇傾向にあり、2016年度時点で30%だった。

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