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ガバナンス再評価と株投資(十字路)

6月1日にコーポレートガバナンス・コードが改定された。「振り返ればカタリストとなっていた」ものになると考えている。今回の改定は多様な項目に及んでいるが、大きな変化は2点挙げられる。

第1に、「資本コストを意識した事業戦略の必要性」が今回の改定で横断的に指摘されている。資本コストを加重平均資本コスト(WACC)と見立て、ROIC(投下資本利益率)とのスプレッドごとに銘柄を分類し運用成績を測定すると、近年ではスプレッドの高低によって運用成績の格差が大きく開いている。株式市場は、第1の点を体現している銘柄に高い評価を与えている。

第2に、「政策保有株の縮減」に最も重点が置かれている。政策保有株は「持っていようが、持たれていようが自己資本利益率(ROE)は低い」という傾向が鮮明だ。政策保有株を持ち合う効用があるのは確かだが、全体としては資本効率を阻害する要因になっている。

コード改定が威力を発揮し始めた場合、日本株再評価のトリガーになるだろう。まず、海外投資家の間では、ガバナンスに対する関心が極めて高い。1年前ごろには「日本企業のガバナンス改革に失望した」という海外投資家の見方が目立っていたが、直近では「ガバナンスの改善が見込める銘柄に投資したい」という声が再び多くなってきた。

また、ガバナンスが改善すると株式の評価が上昇する可能性がある。単純にTOPIXのROEとPBR(株価純資産倍率)を比較すると連動性は高い。「資本コストは8%が目安」とよく指摘されるが、TOPIXのPBR1倍の水準はROE8%のそれに相当する。ROEが8%以上に達して初めて、株式市場はブックバリュー以上の評価を与えることが示唆される。

(SMBC日興証券 チーフ株式ストラテジスト 圷正嗣)

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