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バスケ男子、五輪出場なるか 技術委員長に聞く

長らく五輪の舞台から遠ざかるバスケットボール男子の日本代表。29日から始まる2019年ワールドカップ(W杯)アジア1次予選の2試合で連勝しないと、20年東京五輪の開催国枠での出場も怪しくなる。ここまでの強化や今後の方向性について、日本バスケットボール協会の東野智弥技術委員長に聞いた。

ラマスHCとは「強化育成のシステムそのものを一緒に変えよう」と話をしてきた=共同

――アルゼンチンを率いて12年ロンドン五輪で4位に入ったフリオ・ラマス氏が男子日本代表のヘッドコーチ(HC)に就任し、まもなく1年。成果と課題は。

「ラマスHCとは、強化育成のシステムそのものを一緒に変えようという話をしてきた。その1つが『5つの帯』。男女のA代表とB代表、U-22(22歳以下)、U-18、U-16の各チームにつながりを持たせて活動させ、いい選手は飛び級で上がれるようにする。アルゼンチンでもこの形で強化をしている」

「代表戦のマッチメークにもラマスHCの人脈が生きている。男子日本代表の世界ランキング(48位)は女子(13位)と違って低い。力のある相手がなかなか対戦してくれないところを、ラマスHCは電話一本で試合が組める人脈を持っている」

「ラマスHCは男子日本代表の短期的な課題も的確に3つと言っている。フィジカルコンタクトの方法論と、そこで決めきる力。ビッグマンのシュート力。リバウンドだ。これらを解決するために(元米プロバスケットボール、NBAのティンバーウルブズ所属の)佐藤晃一氏を(チームの体づくりを担当する)パフォーマンスコーチに招くなどしてきた」

さらに綿密なコミュニケーション

インタビューに応じる東野技術委員長

――ラマスHC就任後の課題は。

「まだラマスHCと選手が綿密なコミュニケーションを重ねるだけの時間が足りていない。彼の言葉の奥深さが選手に通じていないところがある。日本人の気質を細かいところまで理解して選手起用をするという点でちょっとしたずれがあるので、しっくりいく状況をつくりたい」

――佐藤コーチを招いた効果は。

「昨年、男女のA代表とユニバーシアード代表、U-18、U-16の計8チームのうち、5チームが史上最高位に入った。佐藤さんの功績だと考えている。日本人の弱いフィジカルのスタンダードを引き上げてくれた」

「日本人に合った体の使い方を教えてくれるとともに、筋力、持久力などで個々に応じた目標値を設定している。時間を無駄にしないため、ナショナルトレーニングセンター(東京・北)の合宿でも、コートの角に器具を置いてどれだけ短い練習時間だったとしても、トレーニングができるように工夫している。食事の仕方や1日の過ごし方も見直した」

「各カテゴリーの代表チームのパフォーマンスコーチの人選も佐藤さんに任せている。日本は高校、大学年代などで本格的なフィジカルトレーニングを始める年齢が世界より5年くらい遅い。ここを高めていかないといけない」

――男子代表はW杯のアジア1次予選で4戦全敗。29日のオーストラリア戦、7月2日の台湾戦に連勝しないと、自力での突破はできない。

韓国戦でも八村(左)らがコートに入っただけで「雰囲気が変わった」と東野委員長=共同

「日本は豪州にまだ一度も勝ったことがない。奇跡を起こさないと勝てない。ただ、その環境は整いつつある」

――Bリーグの今季得点ランキング2位、ファジーカス・ニック(川崎)が帰化した。米国の名門、ゴンザガ大学でプレーする八村塁も帰国。この予選で初めて2人の出場がかなう。

「(15日の強化試合の)韓国戦でも2人が入っただけで雰囲気が変わった。ラマスが言う、3つの短期的な課題のところも変わる。2人は『救世主』とか『希望』とかいわれているが、そういうものでも出てこない限り、番狂わせは起こせない。チャンスは出てきた」

ラグビーなど他競技からも学びたい

――海外出身で日本国籍のある選手も代表合宿に積極的に呼んでいる。

「身長がものをいうスポーツ。いろいろな人のつながりで情報が入るから、新しい選手を呼んでみている。いずれは今までにない取り組みも始めたい。中国などは子供の骨密度を調べ、将来の身長を予測している。我々も将来的には選手のDNAから身長が伸びそうな選手を見つけ、育てていくことも考えている」

「他の競技からも学びたい。たとえば、ラグビーの代表関係者からも話を聞いている。ラグビーは15人制と7人制という2つの種目があり、バスケットも5人制に加え、3人制が新しく五輪種目に加わった。サッカーの(若年層の人材を各地域から選抜する)トレセン制度や、中高生でリーグ戦を行う文化も取り入れたい」

――昨年のBリーグ誕生で国内のバスケット人気は高まっているが、男子代表は1976年のモントリオール大会以降、五輪の舞台に出られていない。

「(15年のW杯で南アフリカを破る金星を挙げた)ラグビーもそうだったが、日本人は番狂わせが好き。バスケットの日本代表では今までそれがなかった。ここでようやく、バスケットにもチャンスがやってきたと思っている」

(聞き手は谷口誠)

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