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投資先選定のカギは「持続可能性」(海外投信事情)

2018/6/27 12:00
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欧州ではサステナビリティー(事業の持続可能性)の観点から、環境・社会・企業統治の3つを重視する「ESG投資」の考え方が一段と広がっている。6月上旬に英ロンドン市内で開催されたESG関連イベントは、昨年を100人以上も上回る約700人の機関投資家、評価会社、情報サービス会社、指数算出会社などの関係者が集まった。

■投資先は持続可能性の視点で

キーワードはロングターム(長期間)--。世界最大級の政府系ファンド(SWF)のノルウェー政府年金基金を運用するノルウェー銀行インベストメント・マネジメント(NBIM)のチーフ・コーポレート・ガバナンス・オフィサー、カリーヌ・スミス・イヘナチョ氏は、イベントの基調講演で「2世代先の将来を見据えた持続可能性の視点から投資先を決める。例えば(汚職など)腐敗を通じて収入を得ている企業などは、それが持続可能でないことは明確だ」と強調した。

機関投資家の投資や意思決定プロセスに可能な限りESG要因を組み込むことを求める国連責任投資原則(PRI)への署名数は2000に迫り、その運用資産額は約70兆ドル(約7700兆円)に達する。本来は環境や社会への配慮を重視することが中長期の企業価値向上につながるといった発想に基づいたものだが、ESG熱の高まりは企業側に迅速な対応を迫っている。

■7割の機関投資家、投資決定でESGが重要要素

米コンサルティング会社エーオンヒューイットが世界の機関投資家223社(運用資産額250億ドル)を対象に実施した責任投資(RI)に関する調査によると、約7割は「ESG要因を考慮することは投資決定の重要な一要素を占める」と回答した。責任投資として企業の対応で何を最も考慮するかとの問いには「化石燃料・二酸化炭素排出」「気候変動」「贈賄・腐敗」が上位に並んだ。こうした要因は先行きの企業収益にも影響を及ぼす可能性があり、回答者の4割はESG要因の考慮が投資パフォーマンスの向上につながるとみている。

米バンクオブアメリカ・メリルリンチが2008~16年の間に経営破綻した企業のESGスコアを調査・分析したところ、「環境(E)と社会(S)の両方のスコアが平均以上だった企業の株式を保有していた投資家は17件の倒産のうち15件は回避できていた」という。ESG投資は女性や、「ミレニアル世代」と呼ばれる比較的コスト意識が高い若年・中堅層が関心を寄せており、投資家層の広がりにも期待がかかる。

機関投資家の中には企業側に対して具体的な投資行動を起こす動きも出てきた。英運用会社リーガル・アンド・ジェネラル・インベストメント・マネジメント(LGIM)は6月上旬、今年の株主総会シーズンを前に気候変動対応などを求める書簡を送付した世界の大手企業84社の回答状況を公表した。7割強の企業から回答があり、6割の企業とミーティングの場を設けたという。

LGIMは「(気候変動に関する)企業との対話がポジティブな動きを促すことに寄与した」と指摘し、ポジティブな活動があった企業として、トヨタ自動車や米ウェルズ・ファーゴ、豪コモンウェルス銀行などを挙げた。一方、環境対策が進んでいないことなどを理由に、同社が運用するファンドで保有していた複数のエネルギー企業や中国建設銀行、日本郵政SUBARUなど8社の株式を売却したことを明らかにした。

積極的に行動する投資家が出始める一方で、「投資家の多くは、より一貫したESGデータが必要だと認識している」(エーオンヒューイット)といった声が漏れる。ESGの重要性への意識は高まっているが、公平中立な立場での評価・分析などには課題が残っている。

(QUICK資産運用研究所ロンドン 荒木朋)

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