2018年9月23日(日)

ネットvs実店舗、米最高裁判決が変える競争

2018/6/23 2:07
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 【ニューヨーク=平野麻理子】米最高裁が21日、州政府がネット通販業者から日本の消費税にあたる売上税を徴収することを認める判決を出した。これまで州政府は州内に店舗や物流施設など物理的な拠点を持たない業者に対して売上税の納付を義務付けることができず、売上税の実質的な免除がネット通販の価格競争力を高めてきた。今回の判決はネットビジネスと税を巡る議論にも大きな影響を与えそうだ。

売上税の実質的な免除がアマゾンなどネット通販業者の価格競争力を高めてきた=ロイター

 ネット通販最大手のアマゾン・ドット・コムをはじめ、ネット勢と厳しい競争を強いられてきた実店舗の小売業者は手放しで歓迎する。全米小売業協会(NRF)は「小売業者は20年以上この日を待ち望んできた。最高裁の判断は時代遅れの税制を見直す時が来たことを示すものだ」とコメントした。

 今回の判決は州政府にとっても朗報だ。従来のルールはカタログ通販全盛期の1992年に出された判決に基づく。財政難に悩む多くの州が従来のルールのせいで、巨額の税収が失われていると訴えていた。米会計検査院の試算では、物理的な拠点を求めるルールがなければ、2017年に最大134億ドル(約1兆5千億円)の税金を徴収できていたという。

 アマゾンを目の敵にするトランプ大統領も21日、ツイッターに「消費者と小売業者の大勝利だ」と投稿した。トランプ氏は3月、アマゾンを名指しで「税金を払っていない。数千の小売業を廃業に追いやっている!」などと激しく批判していた。中小や零細の小売店が今秋の中間選挙で「票田」になるとの考えが背景にある。

 一方、アマゾンはすでに方針を転換している。全米各地に自前の物流施設を置いて配達時間を短縮する代わりに、17年から売上税が存在する全ての州で消費者から徴収を始めた。ただ、対象はアマゾンによる直接販売のみ。第三者がアマゾンに出店する「マーケットプレイス」では商品を購入しても、売上税がかからない仕組みだった。

 アマゾンによると、17年に販売した商品のうち、半数以上が第三者による出品。出品者から手数料をとって自前のインフラを提供するビジネスは利益率が高いとされ、アマゾンは力を入れている。売上税の課税は、この分野の成長を下押しする可能性がある。

 ネット通販業者からは司法判断ではなく、民主的な方法である立法措置を求める声があがっている。インターネット家具販売大手のウェイフェアは、多くの州に物流拠点があるため、すでに注文の約80%で売上税を徴収している。同社は「今回の判決を歓迎する」一方、「裁判所は公平な市場を整えるのに適した場所ではない」として、議会に立法を促した。

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