2019年5月23日(木)

佐賀の新エース今冬デビュー 主力イチゴ「さがほのか」後継

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2018/6/23 6:00
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佐賀県産イチゴの主力品種「さがほのか」の後継品種が今冬デビューする。7年かけ開発された新品種は濃い赤色で収量が多いのが特長。さがほのかより大きめで端正な形だ。果肉が白いため、切って盛りつけた際に色気に欠けるという弱点を改善し、ケーキ用などで需要増を狙う。10月に佐賀市でイベントを開き、名称を発表する。

佐賀県が7年かけて開発した「さがほのか」の後継品種=佐賀県提供

佐賀県が7年かけて開発した「さがほのか」の後継品種=佐賀県提供

新品種「佐賀i9号」の開発は2010年度に始まった。先行する福岡県産の「あまおう」に追いつこうと、「いちご次世代品種緊急開発プロジェクト」を立ち上げ。県農業試験研究センターが交配を行い、約1万5000株の中から最優良種を選抜して、16年2月に品種登録を出願した。

試験栽培を行い、1月に首都圏で女性108人を集めて調査を行った。名前をふせて他の主要3品種と食べ比べてもらったところ、約4割が新品種が最もおいしいと答えたという。山口祥義知事は「打倒あまおうを目指す」と意気込む。

18年は唐津市中心に約160戸の農家が栽培する。11月下旬から本格的な出荷を始め、12月上旬に東京と大阪で初荷式、来年1月には東京の百貨店でPRする予定。県は市場の評価や栽培状況を見ながら、段階的に新品種への切り替えを促す。

あまおうは栽培を福岡県内に限定しているが、さがほのかは熊本県や大分県でも栽培されているため、品種別の栽培面積では全国トップクラス。しかし薄い紅色のため、赤色が濃く大粒のあまおうに見た目で劣り、価格で差がつく。今回、見た目も向上したことでブランド力アップを狙う。今後の課題は宣伝力と、空港で見かける菓子などの商品開発力だろう。

九州はイチゴの主要産地。都道府県別の産出額では「とちおとめ」を擁する栃木県に及ばないものの、福岡県が2位。長崎県などが続き、1キロ当たりの販売単価ではあまおうが13年連続でトップ。高級感では、とちおとめを上回る。

熊本県は15年から色つやの良い「ゆうべに」を生産。大分県も8年をかけ独自の品種「ベリーツ」を開発し、昨年12月に初出荷した。年間を通じ甘みが強く、寒い時期でも鮮やかに赤く色づく。宮崎県は病害に強く、作りやすい「こいはるか」を一部の観光農園で試験的に栽培。鹿児島県も糖度が高い新品種のイチゴを開発し、9月ごろに愛称を公表する予定。

日本のイチゴは外国人にも人気が高く、アジアに輸出もしている。「白イチゴ」の開発も含め、2大ブランドの「とちおとめ」「あまおう」に負けまいと、各県が新品種の開発やブランドの確立に向けてしのぎを削る。

九州産イチゴの課題は需要が高く単価の上がるクリスマスシーズン(11~12月)の出荷が栃木県などに比べ少ないこと。傷みやすいため近距離への出荷が中心だったが、新品種や輸送技術の向上で首都圏にも安定供給できれば、イチゴ農家の所得向上が期待できる。

(佐賀支局長 中越博栄)

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