2018年9月22日(土)

きれいな文字で「インスタ映え」 万年筆、女性つかむ

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2018/6/26 6:30
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 高級文具のイメージが強かった万年筆。最近は300~1000円台とコストパフォーマンス(コスパ)に優れた製品が相次ぎ登場し、若い女性の人気を集めている。万年筆で書いた文字に、ボールペンとも違った味わい深さを感じる女性も多い。万年筆で書いた文章を写真交流サイト(SNS)に投稿するなど、新しい楽しみ方も広がっている。

■文字がきれいになる過程残せる

 「#万年筆」「#手書きツイート」……。交流サイト(SNS)のインスタグラムでは、便箋などに書いた手書きの文字の写真を投稿する女性が増えている。「万年筆」などのキーワードで検索すると、お気に入りの詩の一節や会社の愚痴まで、様々な思いをつづる文面がずらり並ぶ。

「#万年筆」などのハッシュタグで万年筆で書いた字を共有する楽しみ方が広がっている

「#万年筆」などのハッシュタグで万年筆で書いた字を共有する楽しみ方が広がっている

 都内に住む20代の女性は「今年に入ってからインスタグラムで友人に公開するアカウントとは別に手書き用のアカウントを作った」という。万年筆好きな人同士で情報交換をするのが目的だ。「自分の字がきれいになっていく過程を残せることに魅力を感じる」

 「女性の購入が増えている」。パイロットコーポレーションセーラー万年筆、プラチナ万年筆の国内大手3社は口をそろえる。矢野経済研究所によると、2017年度の国内の万年筆市場は46億5000万円と、3年前から2割増えた。けん引役が、若い女性などによる購入という。

 「安いものだと1000円、高いものだと4万5000円程度の万年筆を合計9本使っている」。30代の女性会社員はこう語る。仕事では速く書くためにボールペンだが、手紙などプライベートでは万年筆を使う。職人の手で作られている部分が多いため、1本ずつ微妙に異なる書き味が魅力だ。「万年筆は限定品が多いのもつい買ってしまう理由の一つ」と笑う。

■一本300円の万年筆も登場

1本1000円など安価な製品で万年筆の人気が広がっている

1本1000円など安価な製品で万年筆の人気が広がっている

 女性の間で人気が広がるきっかけの一つが、コスパに優れた安価な万年筆の登場だ。

 パイロットコーポレーションは13年に税別1000円の万年筆「カクノ」を発売した。ペン先部分に顔をデザインするなど当初は小学生向けで売り出したが、「母親世代など大人の人気を集めた」(同社)。プラチナ万年筆も300~1000円台の製品を販売しており、普段使い用などで1人で数本をまとめ買いする消費者もいるという。

 若い世代にとって、味わい深い繊細なインクの色合いも、万年筆を購入する理由の一つとなっている。

 プラチナ万年筆は複数の色を混ぜてオリジナルのインクを作れる「ミキサブルインク」という製品を展開している。女性の利用者が増えてきたことなどに対応し、4月には小さめの化粧品のようなパッケージのミキサブルインクを発売した。セーラー万年筆も3月に全100色展開のインクを発売した。単に様々な色で字を書くだけでなく、「透明な万年筆にカラーインクを入れて見た目も楽しんでいる」(20代女性)。

 1本1000円程度で購入できる気軽さと、使用するうちにペン先が削れて自分の手になじんでいく特別感。万年筆は意外にも、他の人が持っていない自分だけのお気に入りを求める現代の若者の需要に一致しているのかもしれない。

(渡辺夏奈)

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