2019年9月20日(金)

エレベーター停止、都市の暮らし直撃 障害者ら孤立も

2018/6/22 17:57
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大阪府北部で震度6弱を観測した地震では、多くのエレベーターが停止し、マンション住民の暮らしを直撃した。復旧作業は病院や公共施設が最優先。一般のマンションは数日かかるケースがあり、階段での移動が難しい障害者が孤立する場面もあった。エレベーターは都市部で増加の一途をたどっており、専門家は「非常時の対策が追いついていない」と指摘する。

地震で停止したエレベーターの復旧の見通しが立たないことを知らせる張り紙(19日、大阪府吹田市、画像の一部を加工しています)=共同

「エレベーターはまだ動きませんか?」。車いすを使い生活する大阪府吹田市の池田篤さん(35)は18日、3階建てマンションの2階自室で被災。停止したエレベーターの状況をマンションの管理人に尋ねたが再開のめどは分からず、部屋に缶詰め状態になった。

ひとり暮らしで、食料の買い置きはない。非常時のためホームヘルパーを依頼することもできず、ほぼ何も食べずに丸1日過ごしたという。エレベーターは翌19日午前に復旧したが「停止している時間はとても長く感じた」という。

大阪市城東区では重い障害がある男性(56)が3階に住む6階建てマンションのエレベーターが停止。男性の介護サービスを担うNPO法人の職員が駆けつけたが、人手が足りず階段では施設へ運べない。エレベーターの保守業者に問い合わせても「順次対応している」との返答で、結局19日昼まで交代でマンションに通い介護した。

担当者は「エレベーターの復旧にこれほど時間がかかるのは想定外。避難も難しく、強い余震があった場合はどうなっていたか……」と漏らす。

復旧が21日朝にずれ込んだ大阪府茨木市の8階建てのマンション7階に住む主婦は「途中の階で休憩しながら上り下りした」と疲れた様子で話した。

マンションや団地が多い都市部で起きた今回の地震。保守大手の三菱電機ビルテクノサービスと日立ビルシステムの2社が管理するエレベーターだけをみても、地震の揺れで関西圏の約3万7千基が自動停止した。多くの場合、再開には保守員が安全性を確認する必要がある。大半が復旧するまでに日立が2日、三菱が3日を要した。

人命救助や支援が必要な人の避難を急ぐため、日本エレベーター協会は大規模地震が発生した場合は復旧作業の優先順位を設けている。エレベーターに閉じ込められた人の救出を最優先し、次いで病院、市役所など公共施設、高さ60メートル以上の高層住宅の順に対応。一般のマンションは最後になる。

同協会によると、全国にエレベーターは約73万5千基(2016年度)あり、5年で約1割増えた。東京都の試算によると、発生が懸念される首都直下地震では、震度6弱の揺れで全体の15%のエレベーターが故障する可能性がある。復旧はさらに長期化する恐れがある。

島根大の田中直人客員教授(建築計画学)は「高層の建物とともにエレベーターが増え続けるなか、災害時に起きる混乱も深刻化している。復旧作業に当たる保守業者の体制を強化したり、孤立を防ぐために住民が支え合う仕組みを作ったりするなど、対応策を早急に考えるべきだ」と指摘した。

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