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豊島逸夫の金のつぶやき

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投資破綻リスク、中国人投資家の甘え

2018/6/22 12:26
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「大銀行の店頭で購入したので、安全だと思っていた。今更、シャドーバンク組成商品などと言われても困る」

「元本保証のはず。損失が出れば、銀行か政府が補償するはず」

中国の大手銀行支店の理財商品販売コーナー

中国の大手銀行支店の理財商品販売コーナー

理財商品破綻の報道が出始め、購入した個人投資家の一部には動揺が走る。

大手銀行支店の店頭で投資リスクの説明はなく、リスク開示文言(ディスクレ)もなく販売された。支店で若手女子行員が無邪気にマニュアルどおりにハイリスク・ハイリターン型の理財商品を売りさばいてゆく光景を再三目撃したものだ。彼女たちに影の銀行と言ってみても、仕組みを理解していないから、まともな答えは返ってこなかった。

今後、一部の理財商品の破綻は不可避だ。炭鉱などの供給過剰セクターへ投資した商品で年7~8%のリターンをうたったタイプの理財商品にはすでに破綻事例が出始めている。組成したシャドーバンクの幹部に購入投資家たちが詰め寄る事件も起きた。

例によって、当局はきめ細かく情報統制しているが、このような事例がSNSで拡散すると取り付け騒動に発展するおそれがある。

旧銀行業監督管理委員会(銀監会)も昨年は規制を強化した。まずは理財商品を当該銀行で簿外扱いせず透明性を高めることから始める方針で、銀監会トップには実力者の郭樹清氏が就任していた。

今年3月には銀行と保険の監督部門統合で銀行保険監督管理委員会(銀保監会)が発足。初代主席に郭氏が就任。郭氏は中国人民銀行副総裁と共産党委員会書記も兼務。易綱中国人民銀行総裁は格下の党委副書記という異例の組み合わせ人事を断行した。過剰債務や簿外資産膨張で脆弱になった金融システムの改革に対する強い決意を表す措置と市場では理解された。

上海での投資セミナー

上海での投資セミナー

ところが、習近平(シー・ジンピン)国家主席は簿外資産規制強化の先送りを示唆。構造改革への論調がトーンダウンしている。中国の景況感に関する懸念が市場で強まり、失業が社会不安を醸成するという党が最も嫌うシナリオが現実味を帯びると、結局、成長重視に軸足を戻さざるを得ないとみられている。

理財商品についても、当面は救済措置が採られるとの期待が現地の銀行の間でも強まってきた。その間、個人投資家の金融リテラシーが向上している兆しは見えない。投資の損失は補填されるとのモラル・ハザードは容易に払拭できるものではない。

筆者が上海の投資セミナーで講演したときも、「どれだけもうかるか」との質問ばかりで、リスクに関する疑問は全く聞かれなかった。

習近平主席の強権政治も、人間の欲だけは、力で抑え込むことはできないようだ。

豊島逸夫(としま・いつお)
 豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・公式サイト(www.toshimajibu.org)
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
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