漫画・アニメ「海賊退治」へ有識者会議 法整備後押し
内閣府は22日、漫画やアニメを作者に無断で掲載する「海賊版サイト」の対策を有識者が話し合う検討会議の初会合を開いた。現行制度の問題点や必要な措置を協議し、政府が目指している海賊版サイトへの接続を遮断するための法整備を後押しする。9月に中間報告書をまとめ、関係省庁の対策強化に生かす。
検討会議は漫画やアニメなどのコンテンツ関連企業や学者、通信事業者らで構成。中村伊知哉慶大大学院教授と村井純慶大教授がそれぞれ共同座長を務める。村井氏は「漫画は重要な日本の文化だ。出口の固定をしないできちんとした議論をしたい」と述べた。
政府は4月の知的財産戦略本部・犯罪対策閣僚会議で、接続業者による海賊版サイトへの遮断措置に法的根拠を与え、民間事業者の対応を促す方針を決めた。ただ、閲覧の遮断は電気通信事業法が禁じる通信の秘密の侵害にあたるとの見方があり、反対意見も根強い。
検討会議は望ましい法整備や、実効性のある対策づくりを議論し、報告書をまとめる。政府が目指している2019年の通常国会への関連法案提出を支援する。海外の運営会社による海賊版サイトへの取り締まりの強化を外国政府に働きかけるのも視野に入れる。
海賊版への対策強化により、作者の利益侵害や日本のコンテンツ産業の衰退を防ぐ。コンテンツ海外流通促進機構によると、17年9月から18年2月の著作権者側の被害額は計4千億円以上という。