2018年7月23日(月)

広がる縦型動画 インスタやLINEなど、消費者主導

コラム(ビジネス)
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2018/6/22 11:30
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 米フェイスブック傘下の写真共有サイト、インスタグラムが20日、最大60分の動画を投稿できるサービスを発表した。米グーグル傘下のユーチューブへの対抗する決め手として加えたのは縦長動画の機能。かつては横長が当たり前だったがスマートフォン(スマホ)文化が急激に広がり、手に持ったまま視聴しやすい縦長が主流に切り替わる可能性もある。

動画サービス「IGTV」を発表する米インスタグラムのケビン・シストロム最高経営責任者(20日、サンフランシスコ=AP)

動画サービス「IGTV」を発表する米インスタグラムのケビン・シストロム最高経営責任者(20日、サンフランシスコ=AP)

 インスタグラムの発表会に登壇したケビン・シストロム最高経営責任者(CEO)は「いまある動画の見方は時代遅れ」と話し、動画投稿サービス最大手、ユーチューブへの対抗意識を見せた。現在の利用スタイルにあわせた新サービスとして紹介したのは、スマホを握ったままでも見やすい縦型の画面だ。

 新サービスは、これまで縦型動画を配信してきた事業者にも追い風となりそうだ。LINE前社長の森川亮氏が立ち上げたC Channel(Cチャンネル、東京・港)は、2015年からメイク、手作り小物、料理など女性向けの縦型動画を多数配信してきた。中国などアジア10カ国でも配信しており、海外を含めた動画の再生数は月間6億件に達する。

 Cチャンネルはインスタグラムを含むSNS(交流サイト)向けのコンテンツとして動画を配信することで、多くのファンを獲得してきた。ただ、SNS上ではサービスの規定に合わせて画面を横長あるいは正方形に変更しなければならなかった。

 インスタグラムが新サービスを開始したことで「アプリと同じ縦長の動画をそのまま流せる」(Cチャンネル)。動画の再生時間も従来の1分から最大60分と長くなったことで、Cチャンネルで多数配信している2~3分の動画も対応しやすくなる。

 そのほかにも、すでに国内では縦型動画のサービスが広がり始めている。その代表格は、個人がスマホを使って自らの語りや歌などをネット上で中継するライブ配信アプリだ。LINEが運営する「LINEライブ」を縦長にした理由について同社の浅野裕介エンターテイメント副事業部長は「多数のアプリを使うスマホだからこそ縦型にする必然性がある」と説明する。

インスタグラムの縦長動画を配信する新サービス「IGTV」の画面

インスタグラムの縦長動画を配信する新サービス「IGTV」の画面

 例えば、横長画面でユーチューブの動画を見ている際に、SNSのLINEなどのメッセージが届いた場合は、縦位置に直してメッセージを読み書きし、また横位置に戻して動画を視聴しなければならない。それでは利用者の手間がかかり、利用の快適さを損なうという。

 さらに縦型動画は「スマホを使ったビデオ通話にルーツがある」(浅野副事業部長)と分析する。縦画面のほうが上半身をいっぱいに表示できるため、余計な情報が含まれず、密接なつながりを感じやすいという。LINEの調査では、スマホで同じ対話をした場合に横長よりも縦長の方がメッセージのやり取りが3倍に増えたという。

 同じくライブ配信アプリ「ツイキャス」を運営するモイ(東京・千代田)は、従来は横長のみだったが17年11月から縦長の配信に対応させた。「縦型のゲームアプリを仲間同士で共有し、配信上で楽しみたいという要望に応えた」(モイ)という。

 現状では縦型動画への対応は主に若者向けのアプリが中心で、米ネットフリックスや米アマゾン・ドット・コムなど幅広い年齢層向けにテレビ視聴も想定した配信サービスで縦型はない。それでもネットフリックスはスマホ視聴の広がりを受けて、4月から縦型画面での動画プレビューの配信を開始している。

 調査会社のICT総研(東京・千代田)が17年に国内で実施した調査では、動画サービスをスマホで見るという比率は前年の54%から61%へと増加したという。テレビで見るという人は13%にとどまる。若者を中心に広がるスマホ文化を背景に、数年後には動画の主流が縦型になっていてもおかしくない。

(企業報道部 松元英樹)

[日経産業新聞 2018年6月22日付]

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