IoT普及へ産学官が連携 千葉・柏の葉で推進組織

千葉県柏市で産学官が連携し、あらゆるモノがインターネットにつながる「IoT」を活用する取り組みが始まった。柏市や三井不動産、市内外のベンチャー企業などでつくるIoTビジネスの推進組織が21日、発足した。メンバー間で最新の技術やノウハウを共有し、行政サービスの向上やドローンの安全な飛行、農業のデジタル化など幅広い活用策を探る。
同日発足した「柏の葉IoTビジネス共創ラボ」には柏市や三井不のほか、日本マイクロソフトや大日本印刷、ドローン開発のドローンワークス(柏市)、東京大学フューチャーセンター推進機構などの企業・団体が参加。東大・千葉大学のキャンパスや研究機関、三井不が運営する起業支援施設「KOIL」などが集まる柏の葉地区を拠点に活動する。
まずはIoTや人工知能(AI)、仮想現実(VR)などに関する勉強会やセミナーを年3~4回のペースで開催し、メンバー間で最新の知識や情報を共有する。研究者や技術者が新しいビジネスやサービスのアイデアを競う「ハッカソン」も実施する。各メンバーの具体的な事業案が固まった段階で、新しい製品やソフトウエア、サービスの開発に順次着手する計画だ。
研究機関が多い柏の葉地区は、省電力で広域の無線通信ができ、IoTに利用しやすい「LPWA」網が整備されている。メンバーが開発した製品やサービスは柏の葉地区で実証試験し、実用化を目指す。
柏市はIoTを活用して行政サービスの向上を目指す。アイデアの一つがIoTを活用した次世代型の水道管理システムだ。「柏市は工業用水がなく、企業誘致を進める上で課題となっている」(市商工振興課)。IoTを導入して一般の水道水を効率的に循環・再利用し、水資源が限られる中でも企業が進出しやすいようにする。
ドローンワークスは街なかを安全に移動できるドローンやロボットの開発に取り組む。農業経営支援アプリを手がけるトレックスエッジ(東京・品川)はIoTを活用し、農作業の省力化や機械化の研究を進める。
柏の葉地区では、東大と産業技術総合研究所が19年春をメドにAIの研究開発拠点を開設する計画。柏市は柏の葉地区をAIとIoTの研究拠点に育て、新たなビジネス創出を後押ししたい考えだ。