2018年11月15日(木)

中国企業の債務不履行が増加 1~6月は4000億円超へ

2018/6/21 18:03
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【上海=張勇祥】中国企業が発行する債券の元利払いが滞る債務不履行が相次いでいる。1~6月の不履行額(円換算)は計4千億円を超え、前年同期の推計(2950億円)より4割前後増えそうだ。主に海外投資家が購入するドル建て債でも不履行が発生。背景には政府が過剰債務を解消するために進めてきた金融引き締めがある。過度な不履行は金融収縮を招きかねず、当局は社債市場の下支えなど、引き締め策の修正に乗り出した。

遼寧省丹東の港湾会社も債務不履行に陥っている(小高顕撮影)

遼寧省丹東の港湾会社も債務不履行に陥っている(小高顕撮影)

民間データベースの「大智慧」などから推計すると、2018年はすでに少なくとも元建て債207億元(3520億円)、ドル建て債3億5千万ドル(385億円)が債務不履行に陥った。不履行債券を発行した企業の一つである上海華信国際集団では、340億円分の債券が6月末、新たに満期を迎える。期日通りに返済できる公算は小さく、これを含め、1~6月の不履行額は計4千億円を超えるとみられる。

18年は通年で過去最大の16年(6850億円)を上回る可能性もある。

企業の信用状況の悪化は株式相場を下押しする。21日の上海総合指数は反落、終値は前日比1.4%安の2875と年初来安値を更新した。米中貿易摩擦に加え、「債務不履行の増加は中国企業の資金繰りの悪化や景気鈍化を映す」(商業銀行)という見方が優勢になった。

主因は引き締め策だ。

習近平(シー・ジンピン)国家主席の指導部は17年秋の共産党大会までは景気安定のため企業の債務膨張を容認した。だが、党大会後はデレバレッジ(過剰債務の解消)を目指し、企業の延命目的の融資を控えるよう銀行に圧力を加えた。

富裕層や企業が購入する運用商品「信託商品」も18年に入り少なくとも12件で元利払いの遅延などが生じている。信託商品は少数の企業や開発プロジェクトを投資先とするケースが多く、社債と同様に企業の信用悪化の影響を受けやすい。

経営が悪化した企業向け融資を信託商品に付け替える銀行もあるとされる。信託商品の債務不履行は、銀行が簿外で企業に資金を融通する「シャドーバンキング」の不調を示すとみられている。

深刻なのは「海外投資家が購入する外貨建て債券(外債)に不履行が広がっていること」(投資銀行)だ。政府系企業が株主の資源会社、中国国儲能源化工集団は5月、ドル建て社債の債務不履行を発表。同社を韓国の投資家グループが訪れ、償還見込みなどを問いただしたとの情報もある。

中国企業が1~4月に発行した外債は計9兆5千億円分。国内の調達環境が悪化し、海外に活路を求めた。だが、発行企業には多額の債務を抱える地方政府系の開発会社も名を連ね、外債でも不履行が続く懸念がある。

中国人民銀行(中央銀行)によると5月末時点の社債残高は円換算で300兆円。社債市場の信認は揺らぎ始めている。

深圳証券取引所に上場する北京東方園林環境は5月、170億円の社債発行を目指したが、投資家から調達した資金は8億5千万円にとどまった。金利も年7%で、この時点で3.7%弱だった長期金利を大きく上回った。楊麗晶副総裁は「発行環境の悪化が大きく影響した」と説明する。

銀行同士が資金をやり取りする同業存単(譲渡性預金に相当)でも中堅、中小銀行が望むだけの資金を手当てできない事例が相次いでいる。

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