カナダが嗜好用大麻を合法化 G7で初、犯罪組織排除
【ニューヨーク=中山修志】カナダのトルドー首相は20日、大麻の所持や使用を10月17日に合法化すると発表した。嗜好用の大麻を国家として解禁するのは南米ウルグアイに続き2カ国目。先進7カ国(G7)では初めて。国が管理することで把握が難しい不法取引を減らす狙い。

欧州や米大陸などでは麻薬の乱用が社会問題になっている。なかでも比較的容易に製品化できる大麻は犯罪組織の大きな収入源となっている。
19日までに上下両院が関連法案を可決し、総督の承認を経て9月までに成立する見通し。トルドー氏は記者会見で「(大麻取引で)犯罪組織が年60億カナダドル(約5000億円)もの利益を得ているという推計もある」と指摘。「いまの大麻の禁止令は子供たちを守るために機能していない」と述べ、嗜好用の大麻解禁の正当性を主張した。
法案によると、18歳以上には最大30グラムの乾燥大麻の所持を許可する。個人使用を前提に自宅での大麻栽培も認める。一方、18歳未満の未成年者への販売や譲渡には最大14年の禁錮刑を科す。
トルドー氏は2015年の総選挙で大麻の合法化を公約に掲げた。大麻を違法に吸引した過去があると告白したことがある。
カナダでは医療用大麻がすでに解禁されており、大麻を不法に入手しやすいとされている。
嗜好用の大麻は17年7月、ウルグアイが全国で解禁した。国家が価格を管理し、ヤミ市場での流通相場に比べ大幅に安い価格に設定した。購入には登録が必要で、外国人観光客には販売しないなど厳しいルールがある。
大麻は多くの国と地域で所持や使用が禁じられるが、麻薬のなかでは依存性が低く副作用が軽いとされ、欧米では「ソフトドラッグ」と呼ばれている。依存性が高いコカインや合成麻薬LSDなど「ハードドラッグ」と区別されることが多い。
欧州でもオランダでは少量の使用が容認されている。米国でも近年、コロラド州やワシントン州などで合法化が相次いでいる。合法化で犯罪組織が取引に関与する余地を狭める狙いもある。
一方、大麻の使用をきっかけに、もっと依存性が高い薬物に手を出すケースもある。カナダでも大麻解禁の賛否を巡り、世論は二分していた。