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人生100年時代の保険 重視すべきは住まい・賠償…

長生き時代の保険の選び方(1)

写真はイメージ=123RF
日経マネー

人生100年といわれる時代になった。日本人の平均寿命は伸び続け、厚生労働省の「平成28年簡易生命表」によれば、男性は80.98歳、女性は87.14歳だ。近い将来、男性の4人に1人、女性の2人に1人は90歳まで生きる時代となる。

長生きは喜ぶべきことではあるもの。しかし長寿を全うするには、人生80年時代とは備えも変わってくる。100歳まで生きるなら、これまでは想定できなかったリスクが新たに生じ得る。予想以上に準備しなくてはならない生活費、長い間自宅で過ごすなら住まいを失う可能性にも備えなくてはならない、そして体が衰えて事故を起こすかもしれない。

生活費、住まい、事故に対するリスクへの備え

増大する長生きリスクへの備えは、現役時代から始めなくてはとても対応できない。それに対し保険でどう備えているのか、データをみたところ、高い生命保険の加入率と死亡保障、その一方で、意外と少ない災害や事故への備えが浮かび上がった。

人生100年時代、保険とどう向き合うか

「長生きしてリスクが増えるからこそ保険が頼りになり、向き合い方は変えるべきではないのでは」と考える人も多いかもしれない。

「いえ、変えざるを得ません」とファイナンシャルプランナー(FP)の清水香さんは断言する。清水さんは、人口動態が変化すれば加入する保険も変えざるを得ないと話す。例えば1960~70年にかけ、核家族化が進んだ。この時代にニーズが拡大したのが高額な死亡保障の生命保険だ。家族単位での生計維持が一般的になり、生計を担う者の死亡をリスクと捉えるようになったからだ。生命保険の加入率の高さ、死亡保障の金額の多さは、この頃の名残ともいえる。

頻度と経済的ダメージによりリスクを4つに分類

「子育て中で生計を担う人が亡くなることはリスクですから生命保険は必要かもしれません。でも子育てが終われば、その後の長い時間に向けて生命保険は見直しの対象になるはず」と清水さん。そもそも老後が想定より長くなったのだから、「老後に備えて貯める=現在の支出を減らす」ことが必要になる。ニーズが変われば保険料の支払いというコストを身の丈に合わせて見直すことが求められる。

清水さんは、長い人生で起こるリスクを「しばしば起こるが経済的ダメージは小さい」「めったに起こらないが起きれば経済的ダメージが大きい」など4つのカテゴリーに分類。災害に遭って自宅を失う、事故を起こして賠償が必要になるなど「めったに起こらないが起きれば経済的ダメージが大きい」事象こそ、人生100年時代に欠かせない保険、と説明する。死亡や障害、傷病には公的な保障があるが、住まいや賠償には公的保障はほぼないからだ。

主な公的保障とその内容

人生に必要な資金を見通す

長い人生を全うするのにいくら貯めればいいのか、見通すのは難しい。そこで肝要なのが、長生きする場合の収入や支出、老後を迎えるまでにできる預貯金の額を把握することだ。

老後の収入は多くの場合、公的年金になる。「年金額を『ねんきん定期便』で正確に理解しておくこと」と話すのはFPの竹下さくらさん。ただ「ねんきん定期便」に記載されている年金額は、現在得ている収入で60歳まで働いた場合の額。今後、転職して収入が減る、55歳で役職定年を迎えて収入が減る、といったことが予測できる場合は、表示されている年金額より少なくなると想定しておこう。

「貯金簿」で資産の増減を知る

支出の把握も重要となる。FPの畠中雅子さんは「貯金簿」を提案する。貯金簿とは、ある一定の期間で銀行の預金残高や証券会社の資産状況(時価で可)などをまとめて比較して、どれだけ残高や資産が増減しているかを知る方法だ。

「こうすれば、家計簿には反映されにくい特別支出なども含んだ家計全体の増減が分かるので、リアルな生活費や、いくら貯めることができるかを把握できます」(畠中さん)。年末や区切りのいい日を選び毎年1回、貯金簿をつけて増減を把握するだけでいい。1年でいくら使い、いくら資産が増えているかを理解できる。その増え方のペースで老後を迎えるとすれば、用意できる額も分かるはずだ。

それらを確認した上で、収入の範囲内で暮らせるよう家計をリサイズしてみる。その上で足りない分を備える、が基本中の基本だ。この基本を前提に、生活費増、住まい、事故・災害への備えをどうすればいいか、次回以降、順に見ていこう。

(日経マネー 佐藤由紀子)

[日経マネー2018年7月号の記事を再構成]

日経マネー 2018年 8 月号

著者 : 日経マネー編集部
出版 : 日経BP社
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