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多彩な攻撃も無得点 モロッコ美しく散る

前半、ポルトガルのベルナルド(左)と競り合うモロッコのハキミ=三村幸作撮影

後半追加タイムのオウンゴールでイランとの初戦を落とし、続くポルトガル戦は開始4分にロナルドの先制パンチを浴びた。180分で失ったのはこの2点。その間、モロッコは相手ゴールを一度もこじ開けられず、20年ぶりのW杯は早々と敗退が決まってしまった。

短くも中身の濃い時間だったといえる。特に後のほうの90分は。得点にならずとも、モロッコの多彩な攻めは守備偏重のポルトガルのサッカーを退屈に見せたほど。「我々にもフットボールができることを示せたと思う」。ルナール監督の述懐は、選手たちの高度なスキルからすると控えめにすぎるものだった。

どの選手も優しくボールを手なずける。左利きのジヤシュはキックの球筋が美しく、N・アムラバトの突破もどこかまろやかなテイストだ。

北アフリカをルーツとするフランスの巨人ジダンにも通じるこれらの技芸は、「ボールは友達」のレベルを超えて「ボールは恋人」の領域に近づきつつあるような……。

うらむらくはトップに人がいなかった。イラン戦は新鋭カアビが、ポルトガル戦は予選に功のあったブタイブがFWで先発したが、いずれも力不足。ポルトガル戦の57分、最もゴールに近づいたベルハンダのヘディングもGKルイパトリシオの右手に防がれた。

敗れて拍手を送られたグッドルーザーの姿に、ふと「ロナルド以前のポルトガル」が思い出された。中盤にルイコスタやフィーゴら花形選手をそろえた1990年代のフル代表が。王冠と無縁だった彼らが去った後、ポルトガルは堅い守備とロナルドの決定力を押し立てて、2016年欧州選手権優勝の道をつける。

「モロッコの攻勢には驚いた」。ロナルドの感想は率直だった。この日、ポルトガルが彼らに見たものは、王冠をかぶる過程で自分たちが失った美しさではなかったか。

(モスクワ=阿刀田寛)

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