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我がまち・福島 そして福島競馬100周年

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2018/6/23 6:30
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春の競馬開催を数週間後に控えていた福島競馬場は、近代建築の弱点とされているせり出した天井部分や外壁部分が被害を受けただけでなく、降り注いだ放射性物質でコース全体が汚染された。春の開催だけでなく、その後の競馬開催のめども全く立たない状況だった。もし、原発の状況が更に悪化して避難区域が原発から半径80キロ圏まで広がっていたら、福島はゴーストタウンとなっていたはず。最悪の場合、競馬場も歴史を閉じていたかもしれない。

復興の蹄音、再開そして再会

しかし、福島競馬場の復活は意外なほど早かった。震災翌年の12年3月26日(月曜)、4月の競馬再開を控えた「内覧会」が行われた。併せて行われたPRイベントには、原発事故で当時なお、多くの被災者が避難生活を余儀なくされていた南相馬市出身の木幡初広騎手(引退)ら東西のトップ騎手が顔をそろえた。キャッチフレーズは「明日への一完歩。復興の蹄(てい)音とともに、あの感動が、あの興奮が、蘇(よみがえ)る」。

福島競馬再開を前にした内覧会には東西のトップ騎手も集まった

福島競馬再開を前にした内覧会には東西のトップ騎手も集まった

風評被害に苦しんでいた土湯温泉、飯坂温泉からは旅館の女将代表や、出荷再開を前に福島の桃をPRするミスピーチが参加しイベントを盛り上げた。滋賀県の栗東トレーニングセンターから駆けつけた和田竜二騎手は「これまで見た福島競馬場の中で最高の馬場」と話した。放射性物質に汚染された表土をはがし、震災4カ月後の前年7月に張り替えられた芝は、生育が早い「エクイターフ」という種類のもの。秋の競馬開催がなく、じっくり育成された芝はまさに最高の状態だった。

そして4月7日(土曜)。10年11月21日以来、1年4カ月ぶりに福島競馬場で競馬が行われた。第1レースはダート1000メートルで競われる3歳未勝利戦。青空は広がっていたが、時折小雪が舞う、少し凍えるような気候の中、ファンファーレが鳴ると石畳を埋めた観客から大きな拍手が沸き起こった。皆が待ちわびていた瞬間だった。「再開、そして再会。」を合言葉に8日間行われた福島競馬。最終日4月29日(日曜)、朝は10度以下だった気温が昼すぎには32度近くまで上昇。暑い7月の開催に確実につながると思わせた。

101年目、さらなる一歩

それからまた6年が過ぎた。今年4月の福島競馬場は相変わらず福島らしいのどかで柔らかな熱気の中にあった。首都圏にいると気づかないが、この夏迎える100周年を記念する競馬への地元ファンの関心は高い。きょう23日には地元商工会議所や新聞、テレビ、ラジオの地元メディアが総出で後援する100周年を記念したお祭りが市内中心部で行われ、25日には武豊騎手が仙台で福島競馬場100周年についてのトークショーを行う。30日に始まる8日間の競馬開催には、例年にも増してバラエティーに富んだ豪華なゲストが来場。メインレースの表彰式でプレゼンターを務めることが決まっている。

ひとつ間違えば93年で終わってしまいかねなかった福島競馬は、101年目の歴史を歩むことになる。夏の福島競馬開幕2日目の7月1日に行われるラジオNIKKEI賞(G3)は、福島競馬場で行われてきた重賞競走としては通算200レース目となるという。

(ラジオNIKKEIアナウンサー 佐藤泉)

 各アナウンサーが出演、ラジオNIKKEIの競馬番組はこちらでチェック! http://www.radionikkei.jp/keibaradio2/

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