2018年9月21日(金)

フォード、提携戦略もEV重点 VWと商用車で

2018/6/20 15:21
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 【シリコンバレー=白石武志、フランクフルト=深尾幸生】米フォード・モーターは19日、独フォルクスワーゲン(VW)と業務提携の協議を始めると発表した。発表には唯一の具体的な内容として「商用車の共同開発を含む」と盛り込まれており、小型の商用電気自動車(EV)の共同開発がテーマに入るとみられる。フォードに関しては先週、独ダイムラーと燃料電池車(FCV)分野の合弁解消が判明したばかり。提携戦略でもEVに重点を置き、経営資源の分散を避ける狙いだ。

フォードは小型の商用電気自動車を軸にフォルクスワーゲンと提携する

■これまでは疎遠

 「VWのチームと一緒に商用車の顧客ニーズの変化に対応できる日を心待ちにしている」。フォードのジム・ファーリー上級副社長は19日に出した声明の中でVWとの相思相愛ぶりを強調した。稼働時間が長く、急速充電などが求められる商用EVには乗用車のEVとは異なるノウハウが求められる。フォードとVWは相互に電動化の技術を持ち寄ることで研究開発の効率を高めるほか、生産設備への投資などを分担する狙いとみられる。

 フォードとVWは、大掛かりな再編が繰り返された自動車産業でこれまで疎遠だったと言っていい。創業家が実質的な経営権を握るフォードは車産業の合従連衡とは距離を置いており、高級車や商用車の有力ブランドを次々と傘下に収めてきたVWとは企業文化が相いれないと見られてきた。今回の提携の具体策は今後の協議次第だが、両社を近づけた要因の一つが電動化であるのは間違いない。

 VWも開発投資の増大が見込まれるなか、これまでのようにすべて自前で手がける手法は限界に来ている。フォードとの提携はバンやピックアップトラックが提携の主な対象範囲になるとみられる。この分野では17年に欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)との提携を模索していた。

■合従連衡の焦点、次はトヨタ

 大型トラックやバスなどの分野では、4月に日野自動車と包括提携に向けた協議に入った。電動化や自動運転など次世代技術での連携を検討する。VWは乗用車部門に投資する資金を確保するために、メリハリをつけ始めた。

 欧州ではVWから広がった排ガス不正問題でディーゼル車に対する信頼が失墜。パリやマドリードなどは25年から市街地へのディーゼル車の乗り入れを禁じると表明した。都市内のヒトやモノの輸送に小型商用車は不可欠で、乗り入れ規制を回避するには電動化が待ったなしの課題となっている。

 中国でも運輸当局は交通渋滞が深刻な都市部でガソリン車などへのナンバープレートの発給を制限している。今後、渋滞解消の切り札として台数増が見込まれるライドシェア用の車両はEVが主流となる見通しで、車メーカーの新たな開発テーマとなっている。

 EVを軸に新たな提携を決める一方で、フォードは1990年代からダイムラーと進めてきたFCV分野における連携を縮小する。08年にカナダに設立した合弁会社は今夏にも解散する見通し。両社と13年からFCV分野で提携していた日産自動車と仏ルノーの企業連合もFCVの商用化を凍結する方針を固めた。

 13年からFCV分野の共同開発を進めてきたホンダと米ゼネラル・モーターズ(GM)は今月、提携範囲をEVに広げると発表した。EV用の電池を共同開発するほか、GMがホンダの北米向けEVに電池を供給することも検討する。燃料電池技術の共同開発は今後も続けるものの、次世代エコカーとしてEVが本命視されている現状に即して提携範囲を見直す形になった。

 今後の焦点は、次世代車で全方位の開発戦略を進めるトヨタ自動車の動きだ。同社はEVに比べて航続距離が長く、燃料充填の時間も短いFCVを電動化戦略の中核に位置付けている。国内外の自動車大手がEVへ傾斜する中、トヨタ単独でFCVの課題である製造コストをどこまで削減できるかが普及のペースを左右しそうだ。

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