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バスケ男子代表に光明 新加入2人が攻守に存在感

2019年ワールドカップ(W杯)アジア1次予選で4戦全敗と崖っぷちのバスケットボール男子日本代表(世界ランキング48位)にわずかな光明が差してきた。6月15、17日に東京と仙台で行われた格上の韓国(同31位)との強化試合は1勝1敗で、課題だった得点力不足に改善の兆しが見えた。攻守にけん引したのは新加入した2人のビッグマンだ。

20歳の八村、別格のプレー

ゴール下で韓国と競り合う八村(手前右)とファジーカス(同左)=共同

「(4連敗した1次予選の)ウインドー1、2に彼らが合流していれば違う結果になっていた。過去のことなので振り返るのはやめますが……」。15日の第1戦を88-80で制した直後の記者会見。日本代表のフリオ・ラマスヘッドコーチ(HC)は明らかに上機嫌だった。

「彼ら」とは、この日がそろって代表デビューとなった八村塁(米ゴンザガ大)とファジーカス・ニック(川崎)のこと。1年前に就任して以来、ビッグマンの得点力不足とリバウンドが日本代表の弱点と考えてきたアルゼンチン人指揮官にとって、2人のパフォーマンスは十分に満足のいくものだったのだろう。

中でも米国の大学シーズンの都合で、このタイミングでの初招集となった八村の存在感は別格だった。パワーフォワードで先発出場した20歳は、8-14とリードされた場面でジャンプシュートを決めて初得点。直後には自陣ゴール下でリバウンドを拾うと、するするとドリブルで駆け上って一気にレイアップシュートを沈めた。

「攻撃でも守備でも僕が要になってチームを引っ張っていくようにいわれた」。そんなラマスHCの期待通り、八村は何度も敵陣へとボールをプッシュ。ボールハンドリングやステップのうまさでそのままシュートに持ち込むだけでなく、相手の守備が整っていない中で味方にパスをさばくなど、視野の広さも見せつけた。

ベナン出身の父を持ち、宮城・明成高時代から恵まれた体格で将来を嘱望されていたが、名門の米ゴンザガ大で2年間もまれてさらに一回り大きくなったよう。「体の使い方(がよくなり)、コンタクトを受けながらシュートを入れられるようになった。気持ちや闘争心も上がっている」と本人が語る通り、ハーフコートの攻撃でも203センチ、102キロの屈強な体は当たり負けせず、ポストプレーでも得点を重ねて2試合で計31得点をあげた。

ビッグマンの得点力不足解消

もう1人のビッグマンが4月に帰化したファジーカスだ。米プロバスケットボールNBAでのプレー経験を持ち、Bリーグの前身時代から川崎で6年間を過ごした33歳。210センチの長身で、ふわりと浮かすフローターに後ろにジャンプするフェイダウェイ、さらには3点シュートなど多彩な攻撃パターンを持ち、第1戦では28得点、13リバウンドを稼いだ。

八村(右)とファジーカスは同時に出場した場面でも連係よくシュートを決めた

八村と同時に出場した場面でも連係よくシュートを決めており、「僕とは全然違うタイプだが、彼がいることでより簡単にシュートが打てる」と手応えを口にする。長年日本にいる分、チームメートがプレーの癖を理解していることも大きなメリットだろう。

これまでになかった推進力、攻撃力を手にした日本。ガードの篠山竜青(川崎)は「(八村が)リバウンドからシンプルに点を取れることで、まわりのシューター陣にも心の余裕が出てくる」と変化を実感する。第2戦は敗れたものの、テンポよく得点を重ねて計87得点。1次予選4試合で平均70点だったことを考えると、2人の加入で日本の得点力は明らかに底上げされつつある。

自力で2次予選進出、連勝欠かせず

2020年東京五輪への出場権を得ていない日本にとって、W杯出場は開催国枠獲得のための最低条件とされる。1次予選は4チーム総当たりで上位3チームが2次予選に進める中、4連敗の日本は同じグループで1勝3敗の台湾(同55位)を上回って3位に入る必要がある。

ただ残り2試合で情勢は厳しい。日本が今月29日のホームでのオーストラリア(同10位)戦に敗れ、同日の別の試合で台湾が勝った場合、7月2日のアウェー台湾戦を待たずして日本の1次予選敗退が決まってしまうからだ。豪州には昨年11月のウインドー1で58-82と完敗。今回の試合に向けては2人のNBA選手も加わる予定で、前回以上に手ごわい相手になる。

勝機を見いだすには、これまでも磨いてきた激しい守備を40分間続けることが最低条件だろう。韓国との2戦ではミスからの失点が多く、相手の大柄な帰化選手にリバウンド争いで負けるなど課題も残った。「守備で質の高いプレーができなかったのは反省点だが、豪州戦までに十分修正できる」とラマスHCはあくまで強気だ。短期間で新戦力をうまく融合させ、今度こそ結果をつかむことができるか。アルゼンチンを強豪国へと育てた名将の手腕が、今こそ試されている。

(鱸正人)

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