コロンビア戦で決勝点となる大迫の2点目を喜ぶ日本イレブン=AP
サッカーには、うまくいっていなかったチーム状態を劇的に改善する一つの「薬」がある。「勝利」である。
ワールドカップの初戦で強豪コロンビアに2―1の勝利。6月12日に最後の強化試合でパラグアイに4―2で快勝したものの、ワールドカップでの1勝はそれと比較にならない重み、インパクトがある。日本代表の士気は大きく上がり、それによってチーム状態も急速によくなると期待したい。
実質的に3週間、その間に強化試合を3試合しかこなすことができなかった西野朗監督。このコロンビア戦も相手が3分という早い時間に退場で10人になっていなければ、ずっと苦しい試合になっただろう。香川真司の見事なPKで先制したものの、前半の選手たちのプレーぶりを見ながらこのまますんなりと勝てるとは思わなかった。実際、39分には与えなくてもいいFK(キープすべき場面で長友佑都が慌ててクリアしようとし、ミスキックになった)で同点に追いつかれた。
PKでリードした後、日本は極端に消極的になり、リズムが崩れてミスを繰り返した。イージーなパスミスが多く、15分に乾貴士が得意であるはずの角度からのシュートをミスすると、以後はほとんど攻撃の形ができなくなった。そしてハーフタイムを1―1で迎えた。
■「ポジショニングで優位に」
その状況を救ったのは、ハーフタイムの西野監督のアドバイスだった。
「数的優位が試合の優位というわけではない。ポジショニングで優位に立たないと、数的優位がアドバンテージにはならない」
西野監督のアドバイスがチームをよみがえらせた=AP
後半は両サイドバックが積極的に前のMFをサポートしたり追い越していったりする動きが生まれ、サイドで相手と2対1の形ができたことで、ほぼ試合をコントロールでき、それが勝利につながった。
試合のデータを見ると、前半のボール支配率は日本の51%に対しコロンビアは49%。シュートも5対5(枠内2対3)と互角だったものが、90分間のデータでは58%対42%。後半のシュート数は9対3(枠内4対0)と圧倒的だった。
西野監督は70分に香川に代えて本田圭佑を投入(そのほぼ最初のプレーが大迫勇也の決勝点を生んだ左CKだった)、足を痛めた柴崎岳(この試合のMVPといってよかった)に代えて山口蛍、そして足がつった大迫に代えて岡崎慎司を送り出した。リードされて前に出ようとしたコロンビアを本田のボールキープが止め、山口は守備で穴をつくらず、岡崎は最前線での追い回しで守備陣を大きく楽にした。「西野采配」は絶好調だった。
1月5日から2月1日までアラブ首長国連邦(UAE)で開催されたサッカーのアジアカップは、日本代表にとって残念な大会だった。他を圧倒する5回目の優勝を目前にして、決勝でカタールに1―3で敗れて準優勝。
今回は1年半後に迫った2020年東京五輪に挑むチームの道のりを展望する。
東京五輪のサッカー競技は、総合開会式(7月24日)の2日前、7月22日に始まり、閉会式(8月9日)前日の8日まで行われる。男