2019年5月22日(水)

出社か帰宅か割れた判断 大阪北部地震、通勤時襲う

2018/6/19 22:33
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大阪府北部で最大震度6弱を観測した18日の地震は朝の通勤ラッシュ時を襲い、出社の可否を巡る企業の判断は業種や状況によって分かれた。通勤途中で帰宅を命じた会社がある一方、顧客対応を重視し、原則出社のルールをそのまま適用した会社も。交通機関の混乱は夜も続いて帰宅困難者が発生。大都市災害への対策に課題を残した。

交通機関の運転見合わせが続き、徒歩で目的地に向かう人たち(18日、大阪市)

「自宅にいる場合は待機、通勤途中は帰宅」。地震が発生した18日朝、大阪市内の製薬会社では所属長が電話で社員に指示を出し、対応に追われた。災害時は出社の可否を所属長が判断するマニュアルに沿った形だが、「途中まで来た社員の多くは結局、会社に出てきた」(担当者)という。

社員の多くはそのまま通常業務に就いた。担当者は「研究所や工場では所属長が設備の安全点検などに時間を取られ、部下への連絡が遅れたこともあった」と課題を指摘。災害時は連絡役を別に設けるなど改善策を検討するとしている。

大阪市に本社のある大手機械メーカーは地震発生の約2時間後、揺れの激しかった大阪府枚方市の工場で点検作業員を除いて約1500人を帰宅させ、工場の操業を停止した。大阪府を中心に広範囲で電車の運転を見合わせていたが、同社は「工場近くに寮があり、車通勤も多いため帰宅できた」と説明する。

同社は阪神大震災を教訓に1997年に災害対応マニュアルを作成したが、今回は対象となる大規模地震には該当しないと判断し、工場ごとに対応を決めたという。本社には関連会社を含めて2000人超が勤務。担当者は「全員が避難できる施設は社内になく、水や食料の備蓄も十分ではない可能性がある」とより大きな規模の地震に不安も漏らした。

顧客対応の部署は原則出社するというルールを守ったのは、大阪市内の旅行会社。当日予定していたツアー旅行の決行の可否や情報収集が必要なためで、安否が確認できた社員に出勤を求めた。ただ交通機関の乱れもあって、出社したのは社員の半分ほど。顧客からの問い合わせは少なく、業務をこなしたという。

今回の判断について担当者は「都市が壊滅するような大規模な地震であれば別だが、職種として仕方ない面もある」と話す。一部社員は夜まで続いた交通機関の回復を待って帰宅したが、歩いて帰った人もいたという。

判断が社員任せになるケースもあった。府内の大手電機メーカーはすでに出社した人は通常勤務にした上で、これから出勤する人には「作業できるなら自宅で仕事するよう社員にメールした」と説明する。大阪府吹田市の男性会社員(63)は部下に「自宅待機でも構わない」とメールを送ったが、「『会社の重要行事がある』と言って2時間以上歩いて出社した社員がいた」と話した。

■企業向け防災アドバイザー、高荷智也氏の話「明確な判断基準 社員に周知を」
 震災時の企業活動の継続計画を用意している企業でも、通勤時の災害を想定したケースは少ないのではないか。地震の起きた時間や場所に応じ、出社や帰宅の明確な判断基準を設けておくのが理想的だ。
 今回、自宅にも会社にも社員が少ない時間帯に地震が発生し、会社は即座に対策会議すら開けなかっただろう。従業員は「迷ったら出社する」と判断しがちだ。会社は強い地震が起きた場合、「自己判断で帰宅して良い」「近くの安全な場所に待機する」などの基準を作り、非常時に取るべき行動を普段から社員に周知しておくべきだ。

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