中核アウディ混乱 VW、技術・利益・人材に打撃
社長逮捕・解任 暫定トップ就任

2018/6/19 18:31
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【フランクフルト=深尾幸生】独フォルクスワーゲン(VW)は19日、子会社アウディのルペルト・シュタートラー社長を一時的に解任したと発表した。同氏の逮捕・勾留による経営の空白を防ぐ狙いで、暫定社長に販売担当取締役のアブラハム・ショット氏を就けた。技術と利益でVWグループをけん引する中核アウディ。混乱によるVWへの打撃は大きい。

独アウディは独フォルクスワーゲングループの中核=ロイター

18日午前7時前、独南部インゴルシュタット郊外のシュタートラー氏の自宅の呼び鈴が鳴った。ミュンヘン検察の代表者はシュタートラー氏に逮捕状を見せた。

2015年に発覚したVWの排ガス不正事件で、VW中核子会社のアウディは、問題となった3リットルエンジンを開発するなど主導的な役割を果たした。検察は詐欺と間接的偽装の疑いで先週、シュタートラー氏の自宅などを家宅捜索。逮捕は証拠隠滅や関係者との口裏合わせを防ぐためという。

シュタートラー氏への取り調べは20日から始まるとみられている。トップ不在による経営の空白を防ぐため、取締役の人事権を握るVWの監査役会は18日から暫定社長について議論していた。

シュタートラー氏はアウディ社長に加え、VWの取締役からも外れる。VWはシュタートラー氏の「職を離れたい」との要望を受け入れた。「逮捕につながった状況が明らかになるまでの一時的なもの」としている。

一連の排ガス不正問題で自動車メーカーのトップが逮捕されたのは初。「技術による先進」をキャッチフレーズに先進的なイメージで高級車を販売するアウディにとってダメージが大きいのはいうまでもないが、VWにとっても衝撃は大きい。

VWはアウディやポルシェ、ランボルギーニなど12の自動車ブランドを抱える巨大グループだ。なかでもアウディはVWブランドと並ぶ中核中の中核。アウディはVWの先進技術の開発センターを兼ね、技術面でも際だった存在だ。

例えば、アウディは17年に「レベル3」の自動運転車「A8」を世界に先駆けて発表したほか、今夏には電気自動車(EV)「eトロン」を発表する予定だ。3月のジュネーブ国際自動車ショーでシュタートラー氏が「これまでのEVとはまったく違う」と興奮気味に話していた戦略車種だ。

利益でもグループの営業利益の3割をたたき出す稼ぎ頭で、販売台数が3倍以上のVW乗用車ブランドをしのぐ。人材もVW「中興の祖」のフェルディナント・ピエヒ氏を筆頭に歴代のVWグループ社長の多くはアウディで経験を積んでいる。

シュタートラー氏は排ガス不正発覚後、一貫して自身の関与を否定してきた。社外からはたびたび退任を迫られてきたが、VWの監査役会は同氏を守ってきた経緯がある。勾留は長引くとみられ、シュタートラー氏がeトロン発表の晴れ舞台に立つのは難しそうだ。

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