都内零細企業、6割が就業規則なし 東京中小同友会調べ
東京都内の零細企業で就業規則を整備していない企業が6割に上ることが分かった。東京中小企業家同友会(東京・千代田)が19日発表した。政府の進める働き方改革関連法案が成立を控えるなか、中小の働く環境の整備が追いついていない実態を浮き彫りにした。
同友会の会員企業に4月に調査し464社が回答した。調査では従業員5人以下の企業で就業規則がない企業が63%に上った。6人以上の企業ではほぼすべてが整備済みで回答が二極化した。
背景には10人未満の企業には就業規則や賃金規定の労働基準監督署への届け出義務がなく、個人事業主が多いことがある。藤浦隆英・特定社会保険労務士は「働き方改革関連法案の整備で中小も法令順守を迫られ、今後対応が必要だ」と指摘する。法案では従業員の全労働時間の把握も義務化される。中小には環境整備が負担となりそうだ。
調査では事業承継についても聞いた。全体の23%が廃業、または後継者が見つからないと答えた。後継者が見つからない企業の7割、廃業予定の3割が5年前に比べ売上高が増えた。
「黒字廃業」の場合、特にものづくりではサプライチェーン(供給網)が失われる可能性があり、受け皿の整備が急務となっている。同友会では8月にセミナーを開催し、事業承継ノウハウなどを伝授する取り組みを始める。