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クラブ対抗競技に見たゴルフの厳しさと楽しさ

ゴルフジャーナリスト 地平達郎

「関東倶楽部(クラブ)対抗」というゴルフ競技をご存じだろうか。

アマもプロも現在は個人戦がほとんどだが、この大会はその名の通り、関東ゴルフ連盟に加盟するゴルフクラブの団体戦である。

多くのギャラリーの中でプレーする(決勝競技)

その関東倶楽部対抗(男子)決勝が6月18日、2020年東京五輪ゴルフ会場となる霞ケ関カンツリー倶楽部(埼玉県川越市)で49クラブが参加して行われ、東千葉カントリークラブが8度目の優勝を飾った。

アマチュアには年に1度の祭典

と書くと簡単なようだが、ここに至るまでの道は険しい。まさにゴルフの原点ともいえる厳しさと楽しさを兼ね備えた大会で、アマチュアゴルファーにとっては、年に1度の祭典ともいえる。

アマチュアゴルファーは2つに大別されるという。

あくまでもレジャーとして楽しむのが目的というタイプが1つ。もう1つはスポーツとしてとらえ、スコアアップと勝負にこだわる競技者タイプだ。

後者の競技志向ゴルファーの晴れ舞台ともいえるのが、クラブ対抗競技である。

日本ゴルフ協会傘下の関東ゴルフ連盟には新潟、長野、山梨、群馬、栃木、茨城、埼玉、千葉、東京、神奈川、静岡の1都10県の約500のクラブが加盟。その中から今年は402のクラブがエントリーし、5月14日から25日にかけて21会場で行われた予選大会を勝ち抜いた49チームが決勝に駒を進めた。

予選を突破するには、実に倍率で8倍強の狭き門をくぐらなければならない。さらに、その中から決勝で402チームの頂点を目指すというサバイバルゲームである。

会場に掲げられた参加クラブの旗が選手のやる気をかき立てる(予選競技)

競技方法もユニークで、それが選手にプレッシャーをかける。

55歳以上のAクラスと、学生・未成年者を除いて年齢制限のないBクラスに3人ずつ、計6人が出場。各クラスの上位2人ずつ、計4人の合計スコアで争われる。

猛者でさえ信じられないミス

つまり各クラス3人のうち、最もスコアがよくなかった1人はカウントされない。そうならないよう、チームに迷惑をかけないように頑張ろうとなるから心中穏やかではない。

予選1競技と決勝競技を見たが、クラブ選手権やシニア選手権などで優勝して、所属クラブでは一目も二目もおかれる選手たちが、いざ代表となると、別人のような、信じられないミスを犯すのだ。

普段なら難なくピンに寄せてくるアプローチショットが半分も飛ばないことがある。中にはティーショットをドライバーでシャンクする選手もいて、多くの選手がスタートホールでティーペグを刺す手が震えている。

それもそのはず。各クラブから顔見知りのメンバーたちが20人、30人と大挙して応援に駆けつける。決勝が行われた霞ケ関CCには「男子プロのトーナメントより多いんじゃないか」という声が漏れ聞こえてくるほど、多くのギャラリーがつめかけたからなおさらである。

自分のクラブの代表選手のプレーを見つめる応援団(予選競技)

全国各地区でも行われる男子・女子のクラブ対抗競技は、アマチュア大会の中で一番ギャラリーが多い大会の一つともいわれ、「ナイスパー」「ナイスパット」などの声とともに、大きな拍手が湧く特別な雰囲気の中でのプレーは、ゴルファー冥利に尽きるだろう。

受け継がれる先人たちの思い

実はこのクラブ対抗競技は、日本のゴルフの原点でもある。

1903年に神戸・六甲山中にオープンした神戸ゴルフ倶楽部が日本で最初のゴルフ場・ゴルフクラブで、これに対抗するよう横浜・根岸に開場したクラブとの間で、第1回「インターポートマッチ」が07年に行われた。

出場したのは日本在住の外国人だったが、故郷の英国、米国などで行われている楽しい対抗戦を日本でも、という発想だったのだろう。

このインターポートマッチに続いて個人戦の日本アマチュア選手権(こちらも当初出場したのは外国人だけ)が行われ、さらにそれが日本プロ選手権などにつながり、現在に至っている。

「チームをつくって対抗戦をやろう」

ゴルフはチームスポーツだという先人たちの思いが、いまもクラブ対抗競技に受け継がれ、息づいていることを感じる。

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