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4番角中、ロッテ浮上のカギ握るバットマン

前評判を覆す健闘といっては失礼か。昨季のパ・リーグ最下位、ロッテが踏ん張っている。昨季はトータルで借金33。交流戦も6つ負け越したが、今季は1試合を残して交流戦勝ち越しを決め、31勝31敗でちょうど勝率5割。まだまだ上を狙えるポジションをキープしている。(記録は17日現在)

チームを勢いづけているのが角中勝也(31)だ。決して喜んでそこに座っているわけではないようだが、「4番打者」として打線の中核の役目をこなしている。

球界屈指のバットマンである角中は徐々に打撃の調子を上げていった=共同

今季は故障で出遅れた。開幕直前の3月20日のオープン戦で、飛球を取りにいってフェンスに激突し、腰や背中を強打した。痛みが引かず検査をすると、「第12胸椎圧迫骨折」で全治5週間との診断。開幕のベンチに角中の姿はなかった。

1軍合流、チームに勢い生む

代わって4番に座ったのが5年目、体重119キロの井上晴哉(28)。懸命にその任を果たしてきたが、いかんせんスタミナがない(6月13日にへんとう炎で登録抹消)。毎年「(活躍するのは)春先だけ」といわれるように、調子は間もなく下降線をたどった。そんなタイミングの5月11日、角中に1軍へのゴーサインがくだった。全治5週間だから、ほとんどぶっつけ本番だったはずだが、そこは球界屈指のバットマンだ。復帰2戦目に適時三塁打を放つと、徐々に調子を上げ、現在の打率は3割2分5厘、22打点。復帰した時点でチームは13勝18敗の借金5だったが、5月11日以降は18勝13敗。角中復帰がその要因となったことは間違いなかろう。

交流戦は1試合を残して、64打数25安打の3割9分1厘で12球団トップである。6月2日の広島戦(ZOZOマリン)は3安打1四球で7-3の勝利に貢献した。第1打席は初回1死一、二塁から「前日負けているので、先に点がほしかった」と外角にバットを合わせて三遊間突破の先制タイムリー。七回には右翼席へ2号2ランを放り込んだ。無死一塁で、広島バッテリーが一塁走者の中村奨吾(26)の足を警戒する中、カウントは3-2になり、角中は「イメージは奨吾が走って(自分は引っ張って)進塁打。あとは後ろに任せる感じ」だった。そして中村がスタートを切った6球目のストレートをしっかりとらえると、進塁打どころかスタンドまで届く見事な一撃に。序盤の4点リードが六回に反撃を受けて1点差に迫られていた七回の攻撃。再び流れを引き寄せる値千金の一発だった。

13日のDeNA戦(ZOZOマリン)も適時打1本。1-1の三回に放った勝ち越し打だった。敵失で巡ってきた2死二塁。「ミスで出た走者なので、ものにできたら流れが来る」と気合とともに打席へ。前日12日の3安打を念頭に、「(前日の相手バッテリーは)内角の真っすぐを使わずにやられていたので、そろそろあるだろうと予想できていた」。2球変化球が続いた後のインコースの直球を狙い澄ましてたたいた。してやったりの一打を「集中力MAXでした」と満足げに振り返った。

角中(右手前)は打順について「4番目という意識」と話す=共同

首位打者2度の実績を考えれば、理想は3番だろう。大砲を後ろに控えたポジションが適しているのは間違いない。だが、今季はそれをチーム事情が許さない。期待されたドミンゲスは時折の一発はあるけれど、というタイプ。常時4番に置いて仕事ができるかというと、もう一つあてにしづらいようで、故障でもないのに開幕から1カ月は2軍暮らしだったことをみても、井口資仁監督(43)の信頼のほどがうかがえる。

監督「一番キーになる選手」

幸い、今季は金森栄治・新打撃コーチ(61)の指導の成果か、1番を打つ荻野貴司(32)、3番の中村が、ともにリーグの打率トップ10に名を連ねるほどの好調ぶりを維持している。これだけ上位打線の出塁が計算できるなら、中軸に求められるのはその走者を返す打点だ。そういう仕事なら、たまに一発長打が出る大砲タイプでなくても、巧みなバットコントロールで単打を打つ角中のようなタイプでも4番をこなせるという考え方。しかも「4番まで走らせたい」という積極走塁を掲げている井口監督の意向にも合致しているわけだ。

角中自身は「ほか(のチームの4番)と比べても長打は多くない。よくいうように、4番目という意識」しかない。だが、その打撃技術はどのチームからも一目置かれているし、得点圏に走者を置いて迎える角中は怖いはず。本人も「前がつないでくれるので、できるだけ多く(その好機を)ものにしたい」と4番の仕事をこなそうとの心構えはできている。もちろん井口監督も「大砲じゃないけれど、一番キーになる選手」と厚い信頼を寄せる。

楽天以外は軒並みパ・リーグが好調だった今季の交流戦。上位に離されずに食らいついている現在5位のロッテがどこまで上位争いに食い込めるか。そのカギを握っているのは井口監督の言葉通り、4番角中である。

(土田昌隆)

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