2018年7月16日(月)

「対中関税、米消費者の負担に」 産業界で反発広がる

トランプ政権
米中衝突
北米
2018/6/16 9:17
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 【ニューヨーク=中山修志、宮本岳則】トランプ米政権が中国製品に25%の追加関税を課す制裁の発動を決めたことに対し、米産業界で15日、反発の声が上がった。中国も報復関税を課すと発表し、米国産の大豆や牛肉など農産物の対中輸出が落ち込む懸念が出ている。

米産業界には、対中制裁が米国の家計圧迫や雇用悪化の形で跳ね返ってくるとの懸念がある(米ボストンのコンテナターミナル)=ロイター

米産業界には、対中制裁が米国の家計圧迫や雇用悪化の形で跳ね返ってくるとの懸念がある(米ボストンのコンテナターミナル)=ロイター

 米小売業界団体は「消費者の家計が圧迫される」と懸念を表明した。プラスチック製品などが対中制裁関税の対象に加わった化学品業界は「貿易戦争をすぐやめるべきだ」と批判を強めている。

 全米小売業協会(NRF)のマシュー・シェイ最高経営責任者(CEO)は「関税は米国の消費者が負担することになる。中国の横暴を止めることにはならず、物価の上昇が家計を圧迫する」との声明を発表した。

 米通商代表部(USTR)が15日に発表した818品目の課税対象には、日用品や食品は含まれていない。ただ、NRFは中国の報復関税で米国の雇用が悪化する可能性があると指摘。米国内総生産(GDP)が30億ドル(約3300億円)減少するとの試算を示した。

 7月に制裁関税を発動する対象品目は、USTRが4月に示した原案より約500品目少ない。米製造業から反発が強かった鉄鋼とアルミニウムへのさらなる追加関税は対象から外れた。米国は中国製の鉄鋼にすでに25%の関税をかけており、今回の対象に含まれれば追加関税は50%に達する見込みだった。

 建機大手のキャタピラーは1~3月期の決算発表で「原材料費の高騰により4月以降の業績が悪化する」との見通しを示した。米商工会議所も「米国の鋼材価格は1月に比べ4割も上昇した」と指摘し、鉄鋼とアルミニウムを追加関税の対象から外すよう米政府に求めていた。

 また、テレビや空調設備、プリンターなどの耐久消費財も対象から外れた。織機や生地のプリント機が関税対象から外れた米アパレル・フットウエア協会は「我々が使用する設備のほとんどを対象外とした今回の決定に拍手を送る」とコメントした。

 USTRは鉄鋼や消費財をリストから外した一方、代替として半導体やエチレンなどの化学製品を中心とする同規模の284品目を追加した。米ゴールドマン・サックスによると、半導体関連の中国からの輸入額は58億ドル、化学製品は22億ドルに上る。

 ダウ・デュポンや3Mが加盟する米国化学工業協会(ACC)は15日、「化学製品が貿易戦争の対象から外されなかったことに失望している」との声明を出した。「化学製品は全ての製品の96%に関係するサプライチェーンの基礎だ」と強調。「数多くの企業を傷つける貿易戦争をすぐにやめるよう、政府と議会に働きかける」と表明した。

 トランプ大統領は「中国が報復すれば、さらなる追加関税に踏み切る」と表明しており、貿易戦争が激化する懸念が高まっている。15日のシカゴ穀物市場では、中国が報復関税の対象とする大豆が約1年ぶりの安値をつけた。

 中国は年間142億ドル(約1兆5000億円)の米産大豆を買い付ける最大の輸入国だ。アイオワ大豆協会のビル・シップレー会長は「食物を武器とした貿易戦争は数百万の米国の農家にとって大きな懸念だ」と語った。

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