【ボゴタ=外山尚之】アルゼンチンの通貨ペソが乱高下している。15日の為替市場でペソは取引開始後に上昇した後、急速に下げに転じ、1ドル=28.45ペソと2日連続で過去最安値を更新した。終値は前日比1.2%安の1ドル=28.05ペソ。
ストゥルゼネゲル中央銀行総裁は14日、為替相場混乱の責任を取り辞職した。同氏を巡り、市場では為替介入を巡る発言が二転三転し混乱を呼んだと批判が強まっていた。マクリ大統領は後任に欧米金融機関で勤務経験が豊富なカプト金融相を指名したが、ペソ相場の回復に向け指導力を発揮できるかは未知数だ。
政府は国際通貨基金(IMF)の融資を使った為替介入に踏み切る構えも見せており、通貨安に歯止めをかけたい考えだ。IMFと合意した500億ドル(約5兆5300億円)の融資枠のうち、75億ドルを通貨防衛にあてる方針だ。しかし、米利上げペースの加速を受け、アルゼンチンペソを売りドルを買う動きが再燃している。
通貨安は短期的にアルゼンチン経済の足を引っ張りそうだ。5月の消費者物価指数は前年同月比26.3%増と、4月から0.8ポイント上昇した。輸入物価の上昇に加え、店頭では食料品などで国産品の便乗値上げも相次ぐ。穀物など一部の輸出産業は恩恵を受けるとの見方もあるが、限定的だ。
野党の左派陣営は足元の通貨安やIMFの支援を機に、マクリ政権に対する非難を強めている。主要労組は財政支出の削減に抗議し、25日にゼネストを実施すると予告。近年、選挙で敗北が続いていた野党だが、01年のデフォルト後の経済混乱をIMFのせいだと考える国民感情を利用し、デモやストで政権への圧力を強めている。