2018年9月22日(土)

クルマの自動制御、実行速度の予測ミス減らすソフト

自動運転
科学&新技術
BP速報
2018/6/15 18:00
保存
共有
印刷
その他

日経クロステック

 ルネサスエレクトロニクスは2018年6月14日、自動車のECU(電子制御ユニット)に搭載するマルチコアマイコンの実行速度を、高い精度で簡単に見積もるソフトウエアを開発したと発表した。シャシーやエンジン、自動運転などの制御ソフト開発で、見積もりにかかる工数を10分の1に減らせる。同年10月に発売する。

 自動車設計で主流になりつつあるモデルベース開発で、完成車メーカーやECUを手掛ける1次部品メーカー(ティア1)の技術者が要求仕様を固める上流工程で使うことを想定する。下流工程に位置するマイコンへの制御ソフト実装時に、想定していた実行速度とのズレを最小化し、手戻りを減らせる。

エンジン制御モデルの一部。制御によって周期が異なる。(出所:ルネサスエレクトロニクス)

エンジン制御モデルの一部。制御によって周期が異なる。(出所:ルネサスエレクトロニクス)

 例えばエンジンの新しい制御ソフトを開発するとき、1ms周期で燃料を噴射する想定で制御ソフトを設計したにもかかわらず、量産マイコンに実装すると2ms以上かかってしまうといった失敗を防げる。

 研究段階で開発した技術を、量産に結びつけやすくなる効果も見込める。高性能計算機で研究用に試作した制御ソフトが、演算能力の低い量産マイコンに実装できるものか簡単に確かめられるからだ。

■ECU全体の実行速度が分かる

 新ソフトは、異なる周期で動作する部品の制御ソフトウエアに対応した。1つのECUで制御する部品全体のソフトウエアの実行速度を見積もれる。従来版は同一周期しか扱えず、制御ソフトの一部の見積もりにとどまっていた。

 例えばエンジン制御ECUで、ノッキング(異常燃焼)検知や燃料噴射時期、点火時期などは1ms周期で制御し、吸気弁の開閉時期は4ms周期で制御する場合を考える。従来は噴射など1ms周期の制御ソフトと、4ms周期の吸気弁の制御ソフトの実行時間は別々に見積もり、合計時間で判断するなどしていた。

 各部品の依存関係を考慮しにくく、見積もりの精度は低くなりがちだ。吸気弁の開閉時期を決めた後に噴射量を決めるといった依存関係がある中で設計した場合、各制御の単純な合計値で実行速度は決まらないからだ。

 しかもマルチコアマイコンは、実行速度を事前に見積もるのが難しい。各制御の計算を割り当てるCPUコア(中央演算装置)が異なると、実行速度が大きく変わり得る。ルネサスは従来版から、実行速度を短縮できる割り当てを自動で決める機能を投入していた。

 対象となるマイコンはRH850シリーズで、発売当初はシャシー制御用「P1H-C」(2コア)やエンジン用「E1M-S」などに対応する。19年に6コアのエンジン用「E2X-FCC2」や自動運転用「R-CAR」などに対応する計画である。

 新ソフトは、「Embedded Target for RH850 Multicore」の第5版。イーソルのマルチコア用モデルベース並列化ソフト「eMBP」と連携する。eMBPは、米マスワークス(MathWorks)の「MATLAB/Simulink」で設計した制御モデルを、マルチコアマイコンへの実装用ソフトに自動変換するものである。

(日経 xTECH/日経Automotive 清水直茂)

[日経 xTECH 2018年6月14日掲載]

秋割実施中!日経Wプランが12月末までお得!

保存
共有
印刷
その他

日経BPの関連記事

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報