2018年12月17日(月)

日本酒高級化へ出足上々 黒龍酒造、初の入札
卸値 予定上回る

2018/6/14 19:16
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清酒醸造の黒龍酒造(福井県永平寺町)は14日、バイヤーの入札方式による新商品の価格決めを実施した。日本酒業界で初めての試みという。9月にも投入する最高級ブランド「無二」の2012~15年の製造分を出品。高価格の評価が相次ぎ、バイヤーによると市場価格が10万円を超す商品も出る見込み。日本酒の高級化で、ひとまず成功を収めた格好だ。

ワインボトルを思わせるデザイン

入札は黒龍酒造が3段階に設定した卸価格を記載した入札用紙を使って実施した。バイヤーは購入を希望するケース数(1ケースは720ミリリットル6本)を記入。用紙を集計し、購入希望数が準備数に収まる中の最安値を落札価格とする。これにより購買力のあるバイヤーのみが仕入れるのを防ぐ。

例えば仮に2万円、2万5千円、3万円の3段階の価格設定で100ケース用意し、2万円の総購入希望数が150ケース、2万5千円が90ケース、3万円が50ケースの場合は全バイヤーが2万5千円で購入することになる。具体的な価格設定は非公表だ。

会場となったエネコ東京(東京・港)には、特約店のバイヤーが66人訪れた。試飲や黒龍酒造が開示した酸度やアミノ酸度の分析値などの資料を元に無二を吟味し、真剣な表情で価格ごとの希望数を記載していた。

これまでの黒龍酒造の最高級商品は720ミリリットル入りの「石田屋」(参考価格1万円)。黒龍酒造は「石田屋の数倍から数十倍の販売価格となりそうだ」としている。来場したバイヤーには「売り方次第で50万円くらいになっても不思議でない」との見方もあった。

今回は全てのビンテージで最高額でも購入希望数が上回り、価格を引き上げて再入札を実施。13~15年分は1度目の最高額再設定で、12年分は2度目の再設定でようやく終結。当初予定の倍近い卸値のビンテージも出た。出品数は当初予定の計1500本を大幅に上回る2800本となった。

浜松市の酒販店の代表、内山育也さんは13年を最も評価したが「現時点と1年後では味が変わる。消費者には熟成方法も合わせて提案していきたい」と話した。

黒龍酒造の水野直人社長も「大変高い評価に驚いている。今後もビンテージのストックをためて数年に一度開きたい」と興奮した様子だった。

無二は兵庫県東条産の最高品質の山田錦を35%まで精米した純米大吟醸原酒。醸造後は氷温で熟成させた最高級銘柄だ。今秋の販売時には、ラベルにQRコードを付け、スマートフォンで読み取ると味の特徴などのデータが表示される。

日本酒はフランスなどの高級ワインに比べると高品質で高価な商品は少ないといわれる。例えばフランス・ボルドー地方の「シャトー・マルゴー」は1本5万円以上で売られることが多く、ビンテージによっては10万円を超える。主力商品が1本5万円以上というのは従来の日本の酒蔵の常識では考えられなかった。こうした壁を乗り越えようと全国で酒蔵が挑戦し始めている。

地域産品開発のアーキス(山口市)は16年、1本約9万円の日本酒「夢雀(むじゃく)」を発売して話題となった。現在はワインのように原料の収穫年を明示して熟成するビンテージ型の販売を開始するなどさらなる高級化を目指している。日本酒の海外の評価が高まる中で、こうした流れは今後も広がりそうだ。(吉田啓悟)

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