2019年5月25日(土)

羽ばたけ女性パイロット スカイマークなど

2018/6/15 11:30
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格安航空会社(LCC)や航空中堅が相次ぎ女性パイロットの育成を進めている。スカイマークが自社養成を進めているほか、ジェットスター・ジャパンでは副操縦士の育成プログラムで初の女性パイロットが誕生した。訪日客増などによる航空需要の高まりでパイロット不足が懸念されている。各社は強化策を打ち出し人員充実を図る。

スカイマークの熊倉さん

スカイマークの熊倉さん

「ママさんパイロットを目指したい」。スカイマークのパイロット訓練生、熊倉萌子さんはこう話す。5月から東京都大田区の本社で座学研修が始まり、8月に渡米する見通しだ。

同社は2014年度からパイロットの自社養成を始めた。自社で一から育成する自社養成は費用がかかるため、日本で実施するのは全日本空輸と日本航空の2社に限られていたが、将来の人手不足への懸念や路線拡大を見据えて自社でも実施することに踏み切った。

現在パイロットになる訓練を受けている人数は30人で、このうち5人が女性だ。全日空や日航など大手を含め「日本の航空会社が抱える女性パイロットの数は多い会社でも2ケタ程度。女性はまだ少ない」(熊倉さん)。同社でもパイロット約250人のうち女性は1人。訓練生がパイロットになることが人材確保につながるだけでなく女性パイロットの増加につながる。

ジェットスター・ジャパンの長滝さん

ジェットスター・ジャパンの長滝さん

LCCのジェットスター・ジャパンも17年春から副操縦士の育成プログラムを始め、18年春に2人の女性パイロットが誕生した。そのうちの一人である長滝矢永子副操縦士は「パイロットになれたうれしさの半面、多くのお客さんを乗せている緊張感と責任感を感じている」と話す。

パイロットになるためには、自社養成で訓練生として内定をもらうか航空大学校や私立大学でパイロットになるための課程を終える必要がある。 私大の航空学科を卒業した人はすでに一定の免許を取得しているため、さらに訓練を経て国家資格を取れば自社養成よりも短い期間で副操縦士として活躍できる。長滝さんも桜美林大学でパイロット養成の課程を修了していたため、入社から1年程度の訓練で運航を始めている。

ジェットスターもパイロットは約180人がいる中で女性は3人だ。長滝さんは「パイロットは男性が多いが、職場は客室乗務員など女性も多く違和感や不自由さはない。女性パイロットが身近になっていけば志す人は増えてくれるのではないか」と話す。

国際民間航空機関(ICAO)の予測では、世界のパイロット数は2030年時点で10年比2倍以上の98万人が必要となる。人員を確保には年間5万人以上を養成する必要があり、年間で8千人長の不足が見込まれる。

特に対策が急務なのがアジア太平洋地域だ。30年時点のパイロット数はは10年比4.6倍の約23万人が必要。世界のパイロット数のうちアジアの割合は10年に11%だったが30年は23%へ高まる。

日本でも17年にAIRDOがパイロットの確保が難しいことを理由に運休を発表。航空各社は人材確保の対策を進めており、LCCのピーチ・アビエーションも自社養成を始める。

パイロット不足が忍び寄るなか、女性の登用を含めた一段の対策が求められそうだ。(企業報道部 志賀優一)

[日経産業新聞 2018年6月14日付]

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