2018年11月14日(水)

米、物価も利上げも突出 政策金利、先進国で唯一2%

2018/6/14 18:53
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【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)は13日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で3カ月ぶりの利上げを決め、政策金利を1.75~2.00%まで上げた。物価上昇率が目標の2%にいち早く到達し、引き締めペースは主要国で突出する。利上げ加速も示唆し、大型減税効果が薄れる来年半ば以降に景気を冷やすリスクもある。

「金融政策が緩和的といえなくなる局面が確実に近づいている」。13日のFOMCで利上げを決めた直後、パウエルFRB議長は記者会見でこう強調した。

日米欧やカナダ、オーストラリアなど先進国の主要10中央銀行の中で、FRBは唯一、政策金利を2%近辺まで引き上げた。2%の政策金利はリーマン・ショック直前の2008年半ば以来、約10年ぶりの水準だ。米国に次ぐのはニュージーランドの1.75%だが、日本や欧州中央銀行(ECB)はなお大規模な金融緩和の最中だ。

FRBが重視する個人消費支出(PCE)物価指数は3月、4月と2カ月連続で目標の2%に達した。数値がやや上振れしがちな消費者物価指数(CPI)でみれば、5月は2.8%と約6年ぶりの上昇率だ。CPIはユーロ圏もエネルギー価格の上昇で1.9%まで高まったが、日本の0.7%(4月)などと比べて、米国の物価上昇率が際立ってきた。

「経済は極めて好調だ。求職者の大半が職を見つけ、失業率も低水準だ」。パウエル議長は米経済の好調さが、足元の物価を緩やかに押し上げてきたと強調する。

米国の1~3月期の実質経済成長率は前期比2.3%(年率換算、速報値)に減速したが、なお日欧と比べて強い。雇用も一段と引き締まり、4月は求人件数が670万件と統計がある00年以来、失業者数(630万人)を初めて上回った。米労働市場は歴史的な逼迫状態にある。

米景気の強さが際立つのはトランプ政権の大型減税効果だ。個人消費上振れで4~6月期の成長率は4%台に跳ね上がるとの予測が浮上。FRBは13日のFOMCで、18年の想定利上げ回数を計3回から計4回へと引き上げた。19年には政策金利が3%台に達する可能性があり、日欧との金利差は拡大しそうだ。

「利上げを急ぎすぎれば景気後退の可能性を高める。それは避けたい」。パウエル議長は先行きに慎重な姿勢も残している。13日のFOMCでは、トランプ米政権が仕掛ける鉄鋼などの輸入制限に懸念の声が噴出した。パウエル氏も記者会見で「企業が雇用や投資を手控えているとの指摘がある」と認めた。住宅や自動車のローン金利が上昇しており、将来的に個人消費の足を引っ張る恐れもある。

米利上げそのものも景気リスクだ。米国と日欧などの金利差がさらに開けば、利回りが見込めるドル資金に資金が回帰し、世界のマネーの流れが一段とゆがみかねない。ドル相場は利上げ加速観測が浮上した今年2月から上昇し、主要通貨に対する「ドル指数」は同月中旬から6%近く高くなった。アルゼンチンなど一部新興国の通貨売りが再燃するリスクもある。

国際通貨基金(IMF)は金融危機後の金融緩和と財政支出で、世界の債務総額は164兆ドルと過去最高に膨らんだと分析。FRBが引き締めに転じたことで、ドル建て債務の返済負担が重くなると警戒する。米国の利上げペースが先行しすぎれば、基軸通貨ドルを通じて世界景気全体を冷やすリスクがある。

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