2018年6月24日(日)

欧州中銀、量的緩和終了を議論へ

ヨーロッパ
2018/6/14 18:52
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 【リガ=石川潤】欧州中央銀行(ECB)は14日、ラトビアの首都リガで理事会を開き、量的緩和政策終了の是非を議論する。ドラギ総裁は物価目標(2%近く)の達成に自信を深めつつあり、米国の利上げ加速と足並みをそろえて緩和を縮小していくことを検討する。ただ直近では景気拡大のペースが落ち、イタリア政局の混乱も続いているため、慎重に判断すべきだとの声も残る。

 ECBは日本時間の14日夜に声明文を公表し、ドラギ総裁が記者会見を開く。市場では9月末に期限を迎える量的緩和政策について、資産購入量(現在は月300億ユーロ)を段階的に減らしたうえで年内にも終了させるとの見方が多い。今回か7月のいずれかの理事会で、何らかの結論を出すとみられている。

 ECBが量的緩和政策の終了を探るのは、物価上昇率が目標とする2%近くに達するという手応えを感じ始めているためだ。ユーロ圏の5月の消費者物価上昇率は前年同月比で1.9%上昇した。原油高の影響もあるが、失業率の低下が賃金の上昇につながって物価を押し上げるという好循環がうっすら見え始めたことも間違いない。

 さらに米利上げの加速がECBの背中を押している。ECBが緩和縮小を進めるうえで警戒するのが急激なユーロ高だ。だが、米国の利上げとあわせて金融政策の正常化を進めれば、米欧で同時に金利が上がるため、為替相場は安定する。

 米国が利上げしている今のうちに、できるだけ緩和縮小を進めておくべきだとの意見がある。そうすれば、景気が急に悪化した場合の政策対応の余地(のりしろ)をあらかじめ用意しておくことができるためだ。

 そもそも3年以上に及ぶ量的緩和政策でECBの資産は膨れあがり、市場に出回る国債は少なくなってきた。量的緩和をこれ以上続けるとすれば、品薄なドイツ国債でなく、潤沢なイタリア国債の購入を増やさざるを得なくなる。財政規律をこれ以上緩ませないためにも、異例の政策は打ち切るべきだとの意見がドイツなどで強い。

 悩ましいのが、年明けから企業の景況感などが大きく悪化し、ユーロ圏経済の成長ペースが明らかに鈍ってきたことだ。「基調の強さは維持している」(プラート専務理事)というのがECBの公式見解だが、減速が本当に一時的かどうか、もう少し様子を見るべきだとの声は残る。

 米国が鉄鋼・アルミニウムの輸入を制限し、自動車への関税の引き上げもちらつかせている。リスクへの警戒が強まり、企業心理の悪化に歯止めがかからなくなるのが最悪のシナリオだ。

 追い打ちを掛けるように、イタリア政局の不透明感も増している。発足したばかりのポピュリズム(大衆迎合主義)政権の出方は読みにくく、財政悪化への懸念は消えていない。ECBが量的緩和を終了してイタリア国債の新規購入をやめれば、金利上昇(債券価格は下落)のリスクは間違いなく高まる。

 ECBが量的緩和政策の終了を決めた場合、次の焦点は利上げの時期に移る。ECBは現在の極めて低い金利水準を当面維持すると約束しており、最初の利上げは2019年半ばごろとの見方が強い。利上げの道筋について、ECBが何らかのヒントを示すかも今回の理事会の焦点だ。

 米連邦準備理事会(FRB)は13日に政策金利を1.75~2.00%に引き上げた。ECBも金融政策の正常化を探り始めたが、米国との差はなお大きい。

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