アジアの中銀、追加利上げ検討へ FRB利上げに追随
通貨安・株安防衛に躍起

2018/6/14 16:19
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【シンガポール=中野貴司、香港=木原雄士】米連邦準備理事会(FRB)の利上げペースが一段と加速する可能性が出てきたことで、アジアの中央銀行は追加利上げの検討を迫られる。米国との金利差が縮めば、自国の通貨安や株安が進む恐れがあるためだ。ただ、金利上昇でお金を借りる企業や個人の負担が増す副作用も予想され、中銀は慎重なかじ取りに悩むことになる。

利上げを決め記者会見にのぞむインド準備銀行のパテル総裁(6日)=ロイター

FRBは13日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で3カ月ぶりの利上げを決め、年内の追加利上げの回数も従来の1回から2回へと中心シナリオを引き上げた。今回の利上げ自体に驚きは少なかったものの、利上げペース加速への警戒から、アジア各国の主要株価指数は14日、軒並み下落した。

アジアの中銀は13日の米利上げの前に、相次いで利上げを決めていた。インドネシア中央銀行が5月に2度の利上げに踏みきったのをはじめ、5月にフィリピン中央銀行が、6月6日にはインド準備銀行(中央銀行)が指標となる政策金利をそれぞれ0.25%引き上げた。じりじりと自国通貨安が進んでいたインドネシアやフィリピンの利上げは通貨防衛の側面が色濃かった。

堅調な米経済を背景にFRBが利上げペースを速めていけば、アジア各国の中銀はさらなる追随を検討せざるを得なくなる。既に市場では、2017年11月に6年5カ月ぶりの利上げを決めた韓国銀行(中央銀行)が7月にも再利上げを実施するとの声が出ている。

政策金利の上昇が、銀行の貸出金利の引き上げに波及する公算も大きくなっている。香港では、主要銀行が08年から据え置く最優遇貸出金利(プライムレート)の引き上げに動くとの観測が浮上する。すでに有力な金利指標である香港銀行間取引金利(HIBOR)3カ月物は、14日まで7営業日続けて上昇。08年以来の高い水準で推移している。

香港金融管理局(中央銀行に相当)の陳徳霖総裁は14日「利払い費用をうまく管理して、市場リスクに注意を払うべきだ」と発言。住宅ローンの借り手などに金利上昇に備えるよう呼びかけた。政策金利の上昇が銀行の貸出金利の上昇を通じて、企業や家計の負担増につながっていく構図はアジア各国に共通する。

これまで比較的落ち着きを保ってきたアジア市場だが、世界の金融政策の正常化が想定より早く進んでいけば影響を受けざるを得ない。政府や企業の債務水準が相対的に高い国が市場で狙い撃ちされるリスクもある。

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