2018年9月26日(水)

ソニーの電子お薬帳、服薬情報プラットフォーム狙う

2018/6/14 14:22
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 ソニーは14日、電子お薬手帳サービス「ハルモ」のサービスを拡充すると発表した。継続的な服薬の支援や、特定地域で利用者の検診情報を提供し、2020年メドに利用者を現在の約3倍の100万人に増やす。薬局や医療機関など約950カ所に普及したサービス提供のきっかけは、開発者の個人的な体験にあった。

フェリカの技術を転用し、データを分けて保存する仕組みを確立したソニーの「ハルモ」

 「私自身がほしかったサービスなんですよ」。ハルモ事業室長で、創案者の福士岳歩氏は振り返る。かつて微熱が下がらない時期が続いた福士氏は多くの病院に通い、数え切れないほどの薬を処方された。紙のお薬手帳で管理しようと試みたが、増えるのはシールばかり。肝心の医薬情報はよくわからない。「管理さえできないなんて、不安になった」。

 技術者だったので、「世の中にないなら作ればよい」と2008年ごろに開発に着手。氏名や生年月日という個人情報は非接触IC「フェリカ」を積んだカードに、服薬履歴はクラウド上に分けて保存するユニークな仕組みを持つ。薬剤師と話す中で「個人情報が漏洩した場合、どうするんだ」との意見を受けたためだ。

 川崎市の一部で実証試験を始めた2011年。東日本大震災で医療機関や薬局も被災し、保存していた多くのカルテが失われ、電子お薬手帳の有用性が改めて注目されることになった。

 16年にサービスを本格的に始め、神戸市や川崎市では薬局での導入率が30%を超えた。登録した処方箋の累計は300万枚を超す。

 個人情報は匿名で管理するが、個人とIDで紐づけられる特長を生かし、特定の人に必要な情報を届けるプラットフォーム(基盤)確立を目指す。既に医薬品の安全性情報に関する提供で製薬会社47社と連携。継続的な服薬を促す情報や特定地域の検診情報などを提供する機能なども追加し、利便性を高めて利用者拡大に弾みをつける。

 個人の困りごとが起点にあるだけに、事業に対する思い入れは人一倍強い。機能追加は収益減を製薬会社や健保組合などへも広げる狙いがある。周囲を納得させるためにも、早期の黒字化を目指す。(岩戸寿)

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