2018年9月19日(水)

アリババに出遅れた米国 世界モバイル決済革命

CBインサイツ
コラム(テクノロジー)
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2018/6/18 2:00
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 このような米国の決済システムと、中国で圧倒的なシェアを誇るアリペイやウィーチャットペイなどのサービスを比べてみよう。

 モバイル決済でこれらのサービスを使う中国人は6億人近くに上る。

 アリペイの運用者は中国のネット通販最大手、アリババ集団だ。アリペイは「エスクロー(第三者預託)」の役割を担うことで、電子決済の安全性を保証している。

 ウィーチャットペイもエスクローだがやや異なる。中国ネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)が手掛けるモバイル決済サービスのウィーチャットペイは、数億人に上るウィーチャットのユーザー同士で直接資金をやりとりできるようにするために生まれた。ウィーチャットは今やネット通販にも手を広げ、アプリ内のデジタル店舗でも利用できる。

アリペイとウィーチャットのバリューチェーン:エスクローの役割を担うことで安全性を保証している

アリペイとウィーチャットのバリューチェーン:エスクローの役割を担うことで安全性を保証している

 アリペイとウィーチャットペイの中国2強は、米アップルの「アップルペイ」など米国のモバイル決済サービスとは異なるようだ。中国2強はクレジットカードがなくても使えるが、アップルペイはこうしたカードをデジタル化し、モバイル端末で使えるようにしただけ。従ってアップルペイはクレジットカードを根本から覆すわけではなく、加盟店にとっては手数料の支払先が増えるにすぎない。

 それと比べ中国2強はエスクローの役割を担うことで、米国のカード加盟店が慣れてしまった仲介者の多くを不要にした。中国のモバイル決済の市場規模は16兆ドルに達した。利用者が支払う取引手数料はほんのわずか。無料の場合もある。

 中国2強はネット通販とSNSというそれぞれの本業にとどまらず、多角経営の金融機関にもなっている。両社は今や中国の決済を牛耳る存在となったが、既存の銀行やクレジットカードほど大規模なインフラは必要ない。

 米国で同じようなシナリオが展開するのを想像できないわけではない。アマゾン・ドット・コムやフェイスブックは大量のユーザーを抱えているため、モバイル決済を提供すれば、クレジットカード大手と十分に競えるだろう。

 実際、アマゾンはインドで人気の高いモバイル決済サービスのペイティーエムに対抗するためアマゾンペイを始めた。メキシコではクレジットカードや(小切手を振り出す)当座預金口座がなくてもネット通販を使える「アマゾンキャッシュ」に着手した。一方の中国2強も米国に進出し、ニューヨーク市のタクシーや中国人観光客に人気のホテルでサービス利用を始めている。

 「決済」を巡ってあらゆる角度から競争が始まっているのだ。

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