2018年11月21日(水)

アリババに出遅れた米国 世界モバイル決済革命

CBインサイツ
米巨大ITへの逆風
コラム(テクノロジー)
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2018/6/18 2:00
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銀行を利用するのが当たり前となっている米国で普及しているのがクレジットカードだ。消費者がその利便性に満足しているだけでなく、クレジットカードは高収益が見込めるため、銀行側も口座保有者に喜んで提供する。

クレジットカードのシステムには様々な当事者が関わり、消費者に利用限度枠内での利用を認めている。銀行、決済代行業者、決済処理業者、カードネットワークなどは顧客と加盟店の間に入り、安全性を保証するという仕組みだ。

こうした仲介者は購入代金の一部を手数料として課す。この手数料は加盟店が負担し、大半はクレジットカードを発行した銀行の懐に入ることになる。

クレジットカードのバリューチェーン:安全性が保証される仕組み

クレジットカードのバリューチェーン:安全性が保証される仕組み

■脱クレジットカードが進まない理由

店舗側が手数料を払わなくてはならないのに、なぜこれほどクレジットカードは広く使われているのだろうか。

答えは、銀行とその顧客がカードを好むからだ。銀行は顧客にクレジットカードを使わせようとして、様々な特典を提供する。消費者は特典につられてクレジットカードで代金を支払い、銀行は手数料で利益を得る。

決済専門誌「ザ・ニルソン・リポート」によると、米小売店が支払うカード決済やモバイル決済の手数料は年間約900億ドルに上り、その大半はカードを発行する銀行の懐に入る。

重要なのは、銀行が自腹を切ることなく特典を提供できるという事実だ。現金払いやデビットカード払いの消費者、グレードの低い(特典の少ない)クレジットカード保有者が、グレードの高いクレジットカード保有者への報酬を負担してくれるからだ。

グレードの高いカードは加盟店に課せられる手数料も高く、逆にグレードの低いカードは手数料が安い。現金払いの場合には処理コストは発生しない。

だが、加盟店は顧客が使うクレジットカードに応じて商品の価格を変えることはできない。そこで、最も高い手数料を補うために、実質的に商品を一律で値上げすることになる。

つまり、クレジットカードの手数料は顧客に転嫁されているのだ。特典のコストも転嫁される。もちろん現金払いの顧客は特典の恩恵を受けない。そのため、商品に対して支払うコストがカード払いの顧客よりも高くなるという理屈だ。

2010年の米連邦準備理事会(FRB)の調査によると「現金を使う世帯はクレジットカードを使う世帯に1世帯あたり平均149ドルを支払っており、クレジットカードを使う世帯は現金を使う消費者から年間1133ドルを受け取っている」。

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