2018年10月16日(火)

ホタテ貝毒、出荷規制続く 岩手、宮城沖120キロで

2018/6/14 10:08
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東日本大震災で大きな被害が出た岩手、宮城両県で、まひ性貝毒による養殖ホタテの出荷規制が長期化している。全国的に貝毒の発生件数が増加する中、ホタテ生産の盛んな岩手県釜石市から宮城県石巻市の沿岸約120キロの範囲で出荷を停止。専門家は津波の影響を指摘するが、抜本的な解決策はない。

ホタテの出荷作業をする機械の前で説明する藤野勝利さん(12日、岩手県陸前高田市)=共同

▽収入に直結

「全く水揚げできず、この2カ月間は収入がない」。岩手県陸前高田市の広田湾でホタテの養殖業を営む藤野勝利さん(53)は危機感を募らせる。広田湾でホタテの貝毒は過去にほとんどなかったが4月上旬に規制値を上回る毒が検出された。

岩手県では3月6日、釜石市の釜石湾で規制が始まり、6月13日現在、12海域のうち6海域で出荷を規制。県漁連によると、2017年4~5月の出荷量は県全域で約375トンだが、今年の同期間は約86トンに落ち込んだ。

宮城県でも3月20日から一部海域で規制が始まり、ホタテを生産する全7海域全てで出荷ができない状況だ。県は漁業者に融資制度を紹介する相談窓口を設置した。

▽広範囲・長期化

貝毒は、貝が毒を持ったプランクトンを食べて蓄積することで発生。人が食べると中毒を起こす。両県では春~夏は週1回、貝の毒量を調査し国の基準値を超えた場合に出荷を止める。

3週連続で規制値を下回ると出荷を再開できるが、ホタテは他の貝と比べ毒が抜けるのに時間がかかる。「これだけ広範囲で長期化したことはない」と両県の担当者。他の貝への影響を懸念する。

農林水産省によると、まひ性貝毒によるホタテやカキなど貝類の出荷規制は、昨年は延べ35件だったが、今年は東北太平洋側、瀬戸内海東側で特に多く、5月末時点で同65件と急増した。2道県で養殖ホタテの出荷量の9割を占める青森県と北海道では、まひ性貝毒は出ていない。

▽津波が影響

瀬戸内海区水産研究所(広島県廿日市市)の神山孝史・業務推進部長(57)によると、東北では震災前に休眠状態で海底に埋まっていた毒性プランクトンが津波でかき回され、海中に多く出現した。以降、活発に活動する状況が現在まで続いており、貝毒の発生増加につながっていると分析する。

しかし、今年特に多い原因の究明はこれから。「プランクトンが多く発生する時期の前に出荷するぐらいしか対策がないのが現状だ」〔共同〕

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