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FIFA大改革の衝撃 資金・実力、格差に拍車
熱狂の裏側 変わるサッカービジネス(下)

2018/6/14 2:30
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FIFAはクラブW杯を4年に1度とし、出場枠を24チームに増やす見込み(2017年大会で優勝したレアル・マドリード)=ロイター

FIFAはクラブW杯を4年に1度とし、出場枠を24チームに増やす見込み(2017年大会で優勝したレアル・マドリード)=ロイター

ワールドカップ(W杯)ロシア大会を前に世界のサッカー界が揺れている。発端は国際サッカー連盟(FIFA)のインファンティノ会長が打ち出した2つの改革だ。

まずはクラブW杯の拡大。7クラブで毎年開く大会を4年に1度とする代わり、出場枠を24チームに増やす見込みだ。さらなる衝撃は代表チームの新たな大会、ネーションズリーグの創設である。各国が大陸ごとに2年間かけて予選を実施。各大陸の上位が優勝を懸けて争う。代表チームの日程は一変する。代表戦に選手を出すことをクラブに義務付ける「国際Aマッチデー」は年間約10試合分あるが、多くはこの"ミニW杯"やW杯予選で埋まるとみられる。

代表戦は同じ大陸内での対戦が大半になる。競技力で勝る欧州勢は身内のサークルにこもり、ますます力とお金をため込む。逆にアジア勢は欧州、南米の強豪との手合わせが今までより難しくなる。大陸間の格差は開く。各国が親善試合を組む余地も縮小。日本にとっては国内でのキリンカップ開催を中心とする「代表ビジネス」も転機を迎える。

「世界のサッカー界のためになるのか」と日本サッカー協会の須原清貴専務理事。FIFAにも懸念を伝えるつもりだ。クラブW杯の改編にも「格下との対戦が増えてもファンは喜ばない」と欧州主要リーグの関係者は反発する。

両案が形になるかは霧の中。だが、実現すれば桁違いの札束が動くのは確かだ。クラブW杯拡大とネーションズリーグを支援するのは多国籍の投資家集団。ソフトバンクグループが中心となり総額250億ドル(約2兆7500億円)を出すと海外メディアは報じる。巨額の資金はFIFAにとって渡りに船だ。ブラッター前会長の辞任につながった15年の汚職事件でスポンサー集めが難航。15、16年は赤字だった。

一連の改革はサッカーのビジネスモデルを一変させる可能性も秘める。「投資家には中国電子商取引(EC)最大手のアリババ集団も加わっているらしい」。国内外のサッカー関係者が言う。事実なら、日中のIT(情報技術)業界の巨人による共闘となる。サッカービジネスに詳しいニールセンスポーツジャパンの秦英之社長は「デジタル企業の支援ということに意味がある。FIFAと共同で新たな動画配信メディアをつくることも考えられる」と指摘する。

FIFAのインファンティノ会長は2つの改革を打ち出した=タス共同

FIFAのインファンティノ会長は2つの改革を打ち出した=タス共同

国際オリンピック委員会(IOC)などに先例はある。しかし、レアル・マドリード(スペイン)やブラジル代表の試合をFIFAが配信すれば、インパクトははるかに大きい。果実は視聴料にとどまらない。投資家集団の技術を生かし、世界で10億人以上とされるサッカーファンの個人情報を分析。スマートフォンを通じた様々な商品の販促もできる。

FIFAのみならず、サッカー界全体も変化が必要な時期なのかもしれない。日本に加え、「母国」のイングランドでも競技者数は減少傾向。プレミアリーグも国内向けの放映権料が初めて下落する見通しだ。先進国のスポーツ離れに、サッカーも無縁ではいられない。

1980年代のW杯の商業化。90年代のテレビマネーと海外市場開拓による欧州リーグの発展。完成されたモデルをもとにサッカーは成長を遂げてきた。しかし、「近年のサッカー界には大きなビジネス面の変革が少ない」と国内のプロスポーツ団体幹部は言う。

21世紀。競技や国の垣根を越えるビジネスモデルは他競技の方が多かった。野球の米大リーグは一部部門を分社化して他競技の仕事を受注。企業価値を高めた上で株式を売却して稼ぐ。バスケットボール米NBAは社会問題の解決がスポーツの存在意義だといち早く打ち出し、スポンサー獲得につなげて収益を拡大している。

国際統括団体を震源とする変化の波が、サッカー界を激しく揺さぶる。世界一の人気競技は「革命の季節」を迎えた。

(谷口誠、堀部遥)

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