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W杯ロシア大会の歴史的位置づけを考える
サッカージャーナリスト 大住良之

(2/3ページ)
2018/6/14 6:30
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現代のワールドカップでは試合ごとに数十台のテレビカメラが設置され、超スローを含めあらゆる角度からピッチ上の出来事を記録している。主審も副審も見ていなくても、テレビカメラがすべての出来事を白日の下にさらけ出してしまう。

06年ドイツ大会の決勝でイタリアのDFマテラッツィが突然ピッチに倒れたときは、主審と線審だけでなく、両チームベンチの間に位置する「第4の審判」も「その瞬間」を見ていなかった。フランスのジダンを退場に追い込んだのは、出来事の数分後にテレビのリプレー映像で描き出された、マテラッツィに強烈な頭突きをくらわすジダンの姿だった。この映像を参照したことをFIFAは最後まで認めなかったが、主審がジダンにレッドカードを示したタイミングから明らかだった。

背景にはテレビへの配慮

テレビの手前、これ以上明確な誤審を放置しておくことはできない。インファンティノ会長がVARの導入を急いだ背景には、明らかにテレビへの配慮がある。

ワールドカップはFIFAの収益の大半を生みだす「ドル箱」であり、その収入は主としてテレビ(放映権収入)からもたらされる。1998年大会まで全世界で100億円程度だったワールドカップの放映権料は、02年大会で10倍の約1000億円に急騰し、その後も高騰を続けていて今大会では3000億円だという(日本にはその6分の1の500億円が割り当てられた)。

15年のスキャンダルで首脳陣が総退陣した後、FIFAは16年からインファンティノ会長の手に握られている。彼が率いるFIFAは17年にすでに26年大会を48チームで開催することを決め、さらに次回の22年カタール大会から「48チーム制」を実施する可能性も示唆している。多くの国にチャンスを与えるためと説明するが、「48チーム制」の最大の目的は放映権収入をさらに増やすことにある。もし22年大会が48チームになれば、18年ロシア大会は32チームでの「最後の大会」となる。

ロシア大会は何よりも「VARの大会」である。しかしVARほど、ワールドカップが「テレビの、テレビによる、テレビのための大会」にどんどん変質し、その極致に至りつつあることを示す証拠はない。

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