2019年2月19日(火)

東京医科歯科大、難治性心臓病 原因遺伝子発見、心筋のばね弱く

2018/6/12 18:00
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東京医科歯科大学難治疾患研究所の黒柳秀人准教授や木村彰方教授は、家族性の拡張型心筋症の患者で、ある遺伝子の変異が心筋の縮む力を弱める作用をもたらしていることを突き止めた。患者と同じようにマウスの遺伝子を変異させ、心筋の「ばね」の動きに関わるたんぱく質が異常をきたすことを確認した。マウスで病態の再現に成功したことで、病気の解明や治療薬の開発が進む可能性がある。

山口大、米インディアナ大との共同研究。英科学誌サイエンティフィック・リポーツ(電子版)に12日発表された。

拡張型心筋症は難治性の重い心臓病。主に左心室の筋肉が薄くなり、しなやかさを失って血液を送り出しにくくなる。心臓移植以外に根治する方法はないとされる。同大によると国内で2000~3500人に1人の割合で発症し、世界ではこのうち3~4割が遺伝子変異によるものだ。

原因の1つが「RBM20」という遺伝子の変異であることや、「タイチン」というたんぱく質に異常があると、伸びた心筋が「ばね」のように縮む働きに悪影響を及ぼすことが既に分かっていた。ただ、RBM20の変異と心筋の伸び縮みの関係は分かっていなかった。

研究チームは、日米の患者計93人の遺伝子を解析し、RBM20の変異のパターンを新たに2通り発見。その上で、細胞の中で遺伝子からたんぱく質がつくられるスプライシングという作用を詳しく解析した。

変異のあるRBM20は、細胞の核の中にうまく入り込めておらず、スプライシングが順調でなかった。正常なRBM20より長い別の型のタイチンがつくられることが分かった。通常は胎児・新生児の間だけみられる型で、心筋の「ばね」が長くなるため、収縮する力が弱いばねになる。

さらに、患者のようにRBM20を変異させたマウスを作製。遺伝子変異があるマウスは、別の型のタイチンがつくられた。マウスで患者の病態を再現できたと判断した。チームは今後、病態を再現できたマウスを使い、類似の遺伝子変異とタイチンの関係を調べたり治療薬の候補を試したりする。(猪俣里美)

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