DNA鑑定の手法を認めず、袴田事件再審請求で東京高裁

2018/6/11 21:50
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袴田巌元被告の再審開始を認めなかった11日の東京高裁の決定。静岡地裁の結論が覆った最大の要因は、事件から45年を経て行われたDNA型鑑定への評価だった。劣化した証拠からDNAを取り出す特殊な処理について「確立した科学的手法とはいえない」と判断。新技術の信頼性を慎重に見極める姿勢を示した。

「不当決定」と書かれた垂れ幕を掲げる弁護士(11日午後、東京都千代田区)

犯行時の着衣とされる「5点の衣類」は、事件発生から1年2カ月が経過し、公判が始まっていた1967年8月、袴田元被告の勤務先のみそ工場のタンクから発見された。犯人や被害者の血痕が付いているとされ、元被告の死刑確定の決め手となった。

2011年に行われた本田克也・筑波大教授によるDNA型鑑定では、みそなどによる汚染を除去するために血液細胞だけを取り出す試薬「レクチン」を加え、遠心分離でDNAを抽出する特殊な手法を採用。衣類の血痕からDNAを抽出することに成功したとしたうえで「袴田元被告や被害者のものではない疑いがある」としていた。

しかし、高裁が鑑定の検証を依頼した検察側推薦の鈴木広一・大阪医科大教授は「レクチンにはDNAを分解する働きがあり、検査に用いるのは禁忌だ」と批判。高裁決定は本田教授の鑑定手法について「研究途上の手法で有効性には重大な疑問が存在する」と信用性を認めず、「手法を過大評価した地裁決定は不合理」と結論づけた。

高裁決定は、捜査機関による証拠捏造(ねつぞう)についても検討。袴田元被告が当初「犯行時の着衣はパジャマ」と供述し、検察側も冒頭陳述で同様の主張をしていたことを踏まえ、「自白に矛盾し、検察官の立証活動に反するような5点の衣類をわざわざ捏造する動機は見いだしがたい」と指摘。証拠の捏造を否定した。

高裁の審理で検察側が初めて開示した取り調べ録音テープについて、弁護側は「自白の強要があった」と主張。高裁も「供述の任意性及び信用性の確保の観点からは疑問と言わざるを得ない手法が含まれていた」と認めたが、「確定判決に合理的な疑いを生じさせる明白な証拠とはいえない」と判断した。

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