2018年11月16日(金)

小米が示す中国成長企業の成長モデル

The Economist
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2018/6/13 2:00
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The Economist

1987年、長江沿いの都市、武漢でコンピューター科学を学んでいた雷軍氏は、スティーブ・ジョブズ氏について書いた本を読み、彼のようになろうと決意した。計画通りに行けば、自ら創業し、最高経営責任者(CEO)を務めるスマートフォン(スマホ)大手の小米(シャオミ)の上場を今夏に実現し、その夢に大きく近づく。同社の評価額は500億~750億ドル(約5兆5000億~8兆3000億円)とされる。中国のアリババ集団が2014年に上場して以来、世界最大規模の株式公開となる見込みだ。

恐らく小米は、中国で最も成功している消費者ブランドだ。ただ10年にスマホの販売を始めてから、今やどの業界の企業か分類しにくい存在でもある。雷氏は確かにジョブズ氏のように黒ずくめの姿で登場したりする。だが、小米が中国版アップルなのか、それともサムスン電子やソニー、ノキア、あるいは米会員制卸売り大手のコストコ・ホールセールと同類なのかは定かではない。

■かつての米国の理想企業とは全く逆

アリババ集団以来の規模の株式公開になるとされる中国の小米は、最近中国に登場してきた新しいタイプの急成長企業の典型だ。写真は創業者の雷軍CEO=AP

アリババ集団以来の規模の株式公開になるとされる中国の小米は、最近中国に登場してきた新しいタイプの急成長企業の典型だ。写真は創業者の雷軍CEO=AP

小米は先進国のどの企業にも似ていない、というのが弊誌の結論だ。理想の上場企業とは、事業領域が絞られており、大勢の株主を抱え、予測可能だという米国的な考え方が長年優勢だった。だが小米は、その正反対を行く最近の新しいタイプの中国企業の典型だ。つまり、戦略的に事業領域を拡大し、経営者が強力な支配力を握る最も勢いのある企業だ。コンサルティング会社、高風咨詢のエドワード・ツェ氏は、こうした企業を「中国の創造的破壊者たち」と呼ぶ。小米の株式公開は、投資家が新型の中国企業にどれだけの価値を見いだしているかを試すことになる。

小米は、まさに今の中国の環境が生み出した企業だ。経営者らはロックスターのように目立ち、様々な規制は曖昧で、競争は激しく、世界の製造業の中心地にあり、国民の消費行動はどんどん変化するという環境だ。同社はダーウィンが言う「完全適応」と呼ぶにふさわしいかもしれない。犬は人間の7倍の速さで年齢を重ねるとされるが、米企業が49年かけて達成する以上のことを小米は7年でなし遂げた。昨年の売上高180億ドルの4分の3はスマホ販売が占め、その世界シェアは約7%だ。だが、積極的に様々な事業に進出している。

スマホ以外に、掃除機から電動自転車まで何百種類もの自社ブランドの商品を販売し、小さな銀行の株式も30%保有する。ハードの新たなサプライヤーを育てるべく、そうした企業に出資もしている。16~17年には、こうした投資額がフリーキャッシュフローの5分の1を占め、今後さらに拡大する可能性もある。一方、国内では競争がすさまじいため、業績は安定していない。15年は実質赤字に陥り、16年は中国のスマホ市場でシェアが落ちたため、売上高は伸び悩んだ。

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