2018年8月21日(火)

袴田事件の再審認めず、釈放は維持 東京高裁決定

2018/6/11 13:36 (2018/6/11 14:08更新)
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 1966年に静岡県で一家4人が殺された強盗殺人事件で死刑が確定し、静岡地裁の再審開始決定で釈放された袴田巌元被告(82)の即時抗告審で、東京高裁(大島隆明裁判長)は11日、静岡地裁の決定を取り消し、再審開始を認めない決定をした。元被告の年齢などを考慮し、死刑と拘置の執行停止は取り消さなかった。弁護団は高裁決定を不服とし、最高裁に特別抗告する方針。

袴田事件で再審開始を認めない東京高裁決定に対し、「不当決定」と書かれた垂れ幕を掲げる弁護士(11日、東京都千代田区)

 今回と同様に再審が一度認められた後に取り消されたケースとしては、61年に発生した名張毒ぶどう酒事件がある。戦後、死刑囚の再審開始が認められ、無罪が確定したのは免田事件など4件で、再審開始のハードルの高さが改めて浮き彫りになった。

 約4年間に及んだ高裁の審理では、地裁決定の根拠となったDNA型鑑定の手法に対する評価などが焦点となった。

 大島裁判長は決定理由で、筑波大の本田克也教授によるDNA型鑑定について「確立した科学的手法とはいえず、信頼性に難がある」と指摘。「鑑定の結論の信用性は乏しいと言わざるを得ない」として、無罪につながる新証拠には当たらないと結論づけた。

 犯行時の着衣とされたシャツなどの「5点の衣類」について、地裁決定は捜査機関による捏造(ねつぞう)の疑いがあると指摘していた。大島裁判長は「犯行時の着衣がパジャマであるとの自白を得た捜査機関が、それと矛盾するような5点の衣類を捏造するとは考えにくい」などとして、捏造を示す明らかな証拠はないとした。

 刑の執行停止については、元被告の年齢や生活状況、健康状態などから「再審開始決定を取り消したことで逃走の恐れが高まり、執行が困難になるような危険性は乏しい」と判断。「再審請求棄却決定が確定する前に執行停止を取り消すのが相当とまではいえない」として、執行停止を維持した。

 袴田元被告は事件が発生した66年に逮捕、起訴され、公判では無罪を主張した。しかし、犯行時に着ていたとされる5点の衣類が決め手となり、80年に死刑が確定した。

 2014年3月の静岡地裁の再審開始決定は、本田教授によるDNA型鑑定を新証拠と認め、5点の衣類については警察が証拠を捏造したとほぼ断定。「これ以上拘束を続けることは耐え難いほど正義に反する」として刑の執行と拘置の停止を認め、袴田元被告は約48年ぶりに釈放された。

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