2019年3月19日(火)

シャンシャン、あす1歳 成長の裏に母シンシンの愛

2018/6/11 9:43
保存
共有
印刷
その他

上野動物園(東京・台東)のジャイアントパンダの子供、シャンシャン(香香、雌)が12日で1歳の誕生日を迎える。愛くるしい姿は来場者の心をつかんで離さず、人気ぶりはまさに動物園のアイドル。順調な生育の陰には、飼育担当者の献身的な見守りと母親のシンシン(真真、12歳)の深い愛情があった。

ハンモックに乗って遊ぶジャイアントパンダのシャンシャン(11日午前、東京都台東区の上野動物園)

ハンモックに乗って遊ぶジャイアントパンダのシャンシャン(11日午前、東京都台東区の上野動物園)

「大きなトラブルに見舞われることなく無事に育ってくれた。とにかくほっとしている」。2014年から飼育部門のトップを務める渡部浩文副園長(50)は6月上旬、シャンシャンの成長の歩みを振り返った。

「ぎゃあ、ぎゃあー」。パンダ舎の産室に、赤ちゃんの元気な鳴き声が響いたのは17年6月12日午前11時52分。渡部さんは別室のモニター越しに様子を見守り、「ああ、よかった」と胸をなで下ろした。ただ、とても手放しに喜べる心境ではなかったという。

6月14日時点の体重は147グラム。パンダは一般的に未熟児状態で生まれ、生後3カ月までは細心の注意を要する。上野動物園では12年、父親のリーリー(力力、12歳)とシンシンの第1子が誕生の6日後に肺炎で死んだ。1985年に誕生した雄チュチュは疲れで眠り込んだ母親の下敷きになり、生後43時間で死んだ。

パンダの飼育担当5人と、動物病院のスタッフなどを含めた十数人が9月中旬まで3交代24時間態勢の観察を続けた。1分おきにシャンシャンの位置、授乳や鳴き声の有無をチェック。母乳が出にくい時はシンシンの乳房を入念にマッサージした。

シャンシャンの成長を振り返る上野動物園の渡部浩文副園長(9日、東京都台東区)

シャンシャンの成長を振り返る上野動物園の渡部浩文副園長(9日、東京都台東区)

育児放棄があった場合に備え、保育器や人工ミルクも用意。しかし、シンシンは周囲の心配をよそにシャンシャンを優しく抱きしめ、丁寧に体をなめつづけた。「深い愛情で接していた。本当に優しいお母さん」(渡部さん)。その証拠に、7月上旬の身体検査では体に傷は見られなかった。

自力で移動するようになった生後3~4カ月ごろから、授乳の確認程度しか手間がかからなくなった。17年12月に始まった一般公開では、シンシンのおおらかな性格を引き継いだのか、来場者に驚くことなく木登りやお昼寝する様子を見せる。

シャンシャンはこの1年間で約28キロに成長。近ごろは母乳だけではなく、リンゴをほぼ毎日食べるようになった。

今後の1年間は本格的な離乳や、親離れの時期にさしかかる。離乳後は、繁殖時のデータ収集に向けて採血などに必要な動作を覚えさせる「ハズバンダリートレーニング」を行う予定という。

パンダは生息地の中国を中心に国際的な保護が進む。渡部さんは「貴重ないのちを守れるよう、シャンシャンの成長をこれからも支えていきたい」と力を込めている。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報